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「1日1個の卵の摂取」 心血管疾患の発症リスクを低下させる可能性がある
卵は完全栄養食品として有名ですが、一日何個の摂取でどの程度の健康効果があるのでしょうか。
The findings suggest that eating up to one egg per day may help lower the risk of developing cardiovascular disease.
参照元:https://elifesciences.org/for-the-press/3c4b121f/how-eating-eggs-can-boost-heart-health
– イーライフ eLife. May 24, 2022 –
研究者らは、適度な卵の摂取が血液中の心臓によい代謝物の量を増加させることを示し、その結果を本日eLife誌に発表しました。
この研究結果は、1日1個までの卵の摂取が、心血管疾患の発症リスクを低下させる可能性があることを示唆しています。
卵は食物性コレステロールの豊富な供給源ですが、同時にさまざまな必須栄養素も含んでいます。
卵の摂取が心臓の健康に有益か有害かについては、相反する証拠があります。
2018年に雑誌「Heart」に掲載された、中国の成人約50万人を対象とした研究では、卵を毎日(1日1個程度)食べる人は、卵を食べる頻度が少ない人に比べて、心臓病や脳卒中のリスクが大幅に低いことが分かりました※。
今回、この関係をより深く理解するために、この研究の著者らは、卵の摂取が血液中の心血管健康のマーカーにどのように影響するかを探る、集団ベースの研究を実施しました。
筆頭著者で中国北京大学疫学・生物統計学部のLang Pan氏は説明します。
Pan氏:卵の摂取と心血管疾患のリスクとの関連において、血漿コレステロール代謝が果たす役割について調べた研究はほとんどありません。ですから、私たちはこのギャップを埋める手助けをしたいと思いました。
Pan氏と研究チームは、China Kadoorie Biobankから4,778人の被験者を選び、そのうち3,401人が心血管疾患を持ち、1,377人がそうではありませんでした。
研究チームは、標的核磁気共鳴法という手法を用いて、被験者の血液から採取した血漿試料中の225種類の代謝産物を測定しました。
これらの代謝物のうち、自己申告による卵の摂取量と関連するのは24種類でした。
その結果、卵を適度に食べている人は、血液中のアポリポタンパクA1と呼ばれるタンパク質が多く、これは「善玉リポタンパク質」としても知られる高密度リポタンパク質(HDL)の構成要素であることが判明しました。
このHDLは、血管内のコレステロールを除去し、心臓発作や脳卒中につながる閉塞を防ぐ働きがあります。
研究者たちはさらに、心臓病と関連する14の代謝物を特定しました。
卵を食べる回数が少ない参加者は、卵を定期的に食べている参加者に比べて、血液中の有益な代謝物のレベルが低く、有害な代謝物のレベルが高いことが分かりました。
北京大学疫学生物統計学部の准教授である著者のCanqing Yu氏は話します。
Yu氏:我々の結果は、適度な量の卵を食べることが心臓病を防ぐのに役立つということを説明する可能性を与えてくれます。卵の消費量と心血管疾患のリスクとの関連性において、脂質代謝物が果たす因果関係を検証するためには、さらなる研究が必要です。
主任著者である、北京大学疫学・生物統計学部ボヤ特別教授リミン・リ氏補足します。
リ氏:この研究は、中国の国家食事ガイドラインにも影響を与えるかもしれません。中国の現在の健康ガイドラインでは、1日1個の卵を食べることを推奨していますが、データによると、平均消費量はこれよりも低いことが分かっています。我々の研究は、心血管疾患の全体的なリスクを下げるために、国民の間で適度な卵の消費を奨励する、より多くの戦略の必要性を強調しています。


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