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「不幸な気持ちを生み出す」幸福を追求する心
ラトガーズ大学とトロント大学の共同研究によると、幸福を追求する人々は、一日に十分な時間がないと感じることが多く、逆に不幸を感じる、という事がわかりました。
Researchers have found that people who pursue happiness often feel like they do not have enough time in the day, and this paradoxically makes them feel unhappy.
参照元:https://link.springer.com/article/10.3758/s13423-018-1436-7
概要:
- ラトガーズ大学とトロント大学が、幸福を追求する心が時間認識にどう影響するかを共同研究
- 結果、幸福を追求する人々は、一日に十分な時間がないと感じることが多く不幸を感じる事が判明
- 実験参加者らを2つのグループに分け分析
- 「橋の建設」のような鈍い映画を見ながら、「幸せにするものリスト」を作成するよう指示されたグループ
- コメディを見ながら、「幸せにしてくれたものリスト」を作成すうrよう指示されたグループ
- リスト製作完了後「リスト作成中、自分がどれだけ自由を感じたか」を報告してもらう
- 結果:
- なかなか達成できない幸福の追求は、時間が不足していると認識し、逆に不幸になる可能性がある
- ある程度幸福を達成できたものを数えていたグループは、時間が足りないという気持ちが薄れた
- 時間が不足していると認識したグループは余暇を楽しむよりも、物を楽しむようになる
- 時間の不足を感じると、他の人を助けたり、ボランティアに時間を費やすといった、体験や思いを味わう意欲が低下する
- 著者らの提案
- 感謝の日記をつける
- 少なくとも感謝した時間を経験し、それは残る
研究は、「幸福の調査」と言う単調なものではなく、幸福の追求と、幸福の状態が人々の時間の認識にどのように影響を与えるか、というものでした。
幸福そのものではなく、幸福を追求している時、幸福を感じ取っている時に「人々は時間をどのように認識しているか」という、時間に関しての意識調査です。
実験のある参加者のグループは、「橋の建設」のような鈍い映画を見ながら、「幸せにするものリスト」を作成するよう指示されました。
また違うグループは、コメディを見ながら、「幸せにしてくれたものリスト」を、作成されるよう指示されました。
リスト製作完了後、実験参加者には、「リスト作成中、自分がどれだけ自由を感じたか」を、併せて報告してもらいました。
結果、なかなか達成できない幸福の追求は、時間が不足していると認識し、逆に不幸になる可能性があるとの事。
さらに、ある程度幸福を達成できたものを数えていたグループは、時間が足りないという気持ちが薄れたそうです。
幸福の内容が、体験や思いを味わう事という人々は、それを味わうには時間がかかるので、やはり時間の不足を感じるそうです。
そして、そういう人々は余暇を楽しむよりも、物を楽しむようになるそうです。
さらに、時間の不足を感じると、他の人を助けたり、ボランティアに時間を費やすといった、体験や思いを味わう気がどんどんなくなるそうです。
時間の不足を感じてしまうのは、幸福を追求する心がそうさせているようです。
幸福にしてくれるものを数えるよりも、幸福にしてくれたものを数える事が、時間不足を感じない方法だそうです。
研究者のキム氏とマグリオ氏は話します。
「例えば、感謝の日記をつけると、少なくとも『感謝した時間』を経験し、それは残る。」
世界をより良くしたい、と思う心自体は決して悪い事ではありませんが、同じくらい時間を使って、「これがあったからこんなに幸せを感じられた、ありがとう」という経験をする事が、ゆくゆくは時間不足による不幸を感じてしまう、という経験を失くしていける方法だと思います。


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