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「ナノ粒子でより安全に薬剤を正しい細胞に届ける」副作用の少ない治療

現在のがん治療薬は、生物学的製剤や抗体薬物複合体などが使用されています。生物学的製剤はサイズが大きくて特定の細胞に入れなかったり、抗体薬物複合体は毒性が強いので微量の投与しかできないのが問題です。しかしそれらのデメリットを覆す研究結果が発表されました。

“What our team has done,” explains Khushboo Singh, a graduate student in the chemistry department and one of the study’s lead authors, “is to combine the advantages of biologics and ADCs and address their weaknesses. It is a new platform for cancer therapy.”

参照元：https://www.umass.edu/newsoffice/article/research-breakthrough-fight-against-cancer
– マサチューセッツ大学アマースト校 University of Massachusetts Amherst. May 8, 2021 –

マサチューセッツ大学アマースト校応用生命科学研究所の生物活性送達センターの研究チームは、がんをはじめとする病気の治療に革命をもたらす可能性のあるナノ粒子を設計しました。

この新しい研究は、Angewandte Chemie誌に本日掲載されたもので、2つの異なるアプローチを組み合わせることで、がんに侵された特定の細胞に治療法をより正確かつ効果的に届けることができます。

新しい治療法として期待されているのは、生物学的製剤や抗体薬物複合体（ADC）を用いたがん治療薬の投与です。

それぞれに利点と限界があります。

生物学的製剤は、タンパク質をベースにした薬剤で、細胞内の機能不全のタンパク質を直接代替することができます。

そのため、従来の化学療法に比べて重篤な副作用が少ないという特徴があります。

しかし、生物製剤はサイズが大きいため、特定の細胞に入り込むことができません。

一方、ADCは、特定の悪性細胞を狙って微量の治療薬を投与することができますが、抗体は限られた量の薬剤しか運ぶことができません。

薬剤は生物学的製剤よりも毒性が強いため、ADCの投与量を増やすと有害な副作用のリスクが高まります。

この研究の筆頭著者である化学部門の大学院生Khushboo Singh氏は話します。

「私たちのチームが成し遂げたのは、生物製剤とADCの長所を組み合わせ、短所を解決することです。これは、がん治療のための新しいプラットフォームです。」

UMass大学の化学の著名教授であり、生物医学工学の暫定的な責任者であるSankaran Thai Thayumanavan氏は話します。

「このチームのアプローチは、チームが設計した「タンパク質-抗体結合体」（PAC）と呼ばれるナノ粒子に依存しています。PACの抗体が封筒の宛名だと想像してみてください。」

「PACを使えば、保護された治療薬が入った封筒を正しい住所に届けることができます。つまり、より安全な薬剤が正しい細胞に届けられ、結果として副作用の少ない治療が可能になるのです。」

PACの中心となるのは、チームが設計したナノ粒子である「ポリマーブラシ」です。

このブラシには2つの役割があります。

まず、ブラシには、個々のがん細胞を見つけることができる抗体が埋め込まれています。

次に、このブラシは、大量の生物製剤を保持するだけでなく、その用量を損なわないようにしなければなりません。

研究チームは、このナノ粒子が一般的なADCの4倍の治療量を運ぶことができることを発見し、さらにさまざまな技術を用いて何倍にも増やすことができることを明らかにしました。

本論文の主執筆者の1人であり、研究当時UMass化学部門の大学院生であったBin Liu氏は話します。

「生物医学の分野に多くの新しい可能性をもたらします。」

Thayumanavanは話します。

「その意味するところは、おそらく最もエキサイティングなことです。これまで長い間、治療不可能または不治の病と考えられてきた特定の癌の治療法を開発する道が開かれるということです。」

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