将来の罪悪感に訴える心理的効果「アスリートとドーピングの戦い」

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将来の罪悪感に訴える心理的効果「アスリートとドーピングの戦い」

アスリートとドーピングの戦いは苛烈を極めています。
「将来の罪悪感」を訴える心理的介入は、アスリートにとって有用な助けになるようです。

Appealing to athletes’ sense of ‘future guilt’ through psychological intervention could prove a powerful weapon in the fight against doping, according to a new study.
参照元：https://www.birmingham.ac.uk/news/latest/2021/12/guilt-helps-athletes-turn-from-doping.aspx
– バーミンガム大学 University of Birmingham. 08 Dec 2021 –

新しい研究によると、心理的介入によってアスリートの「将来の罪悪感」に訴えることは、ドーピングとの闘いにおける強力な武器になる可能性があります。

研究者らは、エリートアスリートに、禁止されている身体強化薬の使用に対してどのような罪悪感を抱くかを思い描かせることが、ドーピングの健康リスクについてスポーツ選手を教育する取り組みよりも強力な初期反応を生み出すことを発見しました。

ひとつは感情と個人の選択に焦点を当てた心理的介入、もうひとつはドーピングのリスクと健康への影響について強調した教育プログラムです。

実際のアスリートの話やビデオによる証言を用いて、参加者にドーピングをしたスポーツ選手が経験した感情を認識させ、その感情とクリーンな状態で競技に参加し成功したアスリートが経験した感情とを対比させたのです。

参加者は、アスリートのストーリーについて議論し、ドーピングに関連する感情への理解を深めました。研究者は、アスリートがドーピングを正当化する理由（道徳的離脱）を探り、ドーピングが他の人（家族、友人、チームメイト、他の競技者）に与える影響に注意を向けました。

心理的介入は教育的介入よりも強力でしたが、専門家は、ドーピング、ドーピング規制のプロセス、スポーツサプリメントのリスク、健康的な栄養、アンチドーピング規則違反に関する有益な情報を受け取ることで、アスリートがドーピングの誘惑に抵抗する自信が強まることを発見したのです。

バーミンガム大学を中心とする国際専門家チームは、この研究結果を、Psychology of Sport and Exercise誌に発表し、スポーツ監視当局は、2種類の介入を1つのプログラムに統合することを推奨しています。

両国の19のスポーツクラブの選手が、心理的介入と教育的介入のいずれかに無作為に振り分けられ、研究者は、結果が両国で一貫していることを発見しました。

プロジェクトリーダーであるバーミンガム大学スポーツ・運動心理学教授のMaria Kavussanu氏は話します。

「心理的介入によって、スポーツ選手の “将来の罪悪感 “に訴えかけることが、スポーツ選手にドーピングから身を引くよう説得する強力な方法であることがわかりました。」

「我々は、経験的にドーピングと関係があるとされている心理的要因、すなわち感情に焦点を当てました。この社会的認知的アプローチは、ドーピングの害やサプリメントのリスク、内部告発の重要性についてアスリートを教育するのと同じくらい、ドーピングの可能性を減らすために重要なものだったのです。」

「効果的な介入は、ドーピングの検出よりも予防に焦点を当てる必要があり、アンチドーピング介入において心理的変数をターゲットにすることは、スポーツにおけるドーピングを根絶するための規制当局の努力に役立つはずだと考えています。」