
新着記事
高活動を継続する高齢者の脳「老化したシナプスを保護するたんぱく質が多い」
認知症のリスクは高齢になるほど高まります。
活動的な高齢者の脳には認知機能を維持するニューロン間の結合を強化するたんぱく質が多く見られたそうです。
When elderly people stay active, their brains have more of a class of proteins that enhances the connections between neurons to maintain healthy cognition,
参照元:https://www.ucsf.edu/news/2022/1/422086/exercise-alters-brain-chemistry-toprotect-agingsynapses
– カリフォルニア大学サンフランシスコ校 University of California – San Francisco. January 7, 2022
高齢者が活動的である場合、その脳には、健全な認知機能を維持するためにニューロン間の結合を強化する一群のタンパク質が多く存在することが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究で明らかになりました。
神経学の助教授であり、本研究の筆頭著者であるケイトリン・カサレット博士は話します。
「この保護作用は、アルツハイマー病やその他の神経変性疾患に関連する有害タンパク質で脳が汚染されている高齢者でも確認されました。」
この論文は、The Journal of the Alzheimer’s Association誌の2022年1月7日号に掲載されました。
身体活動が認知に及ぼす有益な効果は、マウスでは示されていますが、ヒトで実証するのははるかに困難でした。
神経心理学者でワイル神経科学研究所のメンバーである カサレット博士は、ブリティッシュコロンビア大学の精神医学教授でこの研究の上級著者である William Honer氏と協力して、シカゴのラッシュ大学の Memory and Aging プロジェクトからのデータを活用しました。
このプロジェクトでは、死亡時に脳を提供することに同意した高齢者の晩年の身体活動を追跡調査しました。
カサレット博士は話します。
「シナプスは認知が行われる場所なので、ニューロン間の結合の完全性を維持することは、認知症を防ぐために不可欠かもしれません。身体活動という、簡単に手に入るツールは、このシナプスの機能を高めるのに役立つかもしれません。」
より多くのタンパク質がより良い神経シグナルを意味する
Honer氏とカサレット博士は、活動的な高齢者は、神経細胞間の情報交換を促進するタンパク質のレベルが高いことを発見しました。
この結果は、Honer博士が以前に発見した、死亡時に脳内にこれらのタンパク質が多く存在する人ほど、後期高齢者になっても認知能力を維持できるという結果と一致しています。
さらに、驚いたことに、この効果は記憶をつかさどる海馬だけでなく、認知機能に関連する他の脳領域にも及んでいることが判明したそうです。
Honer氏は話します。
「身体活動は、脳全体のシナプス伝達を促進するタンパク質の健全な機能をサポートし、刺激することで、グローバルな維持効果を発揮しているのかもしれません。」
シナプスは認知症の兆候を示す脳を保護する
高齢者の脳には、アルツハイマー病の病態の特徴であるアミロイドとタウという有害タンパク質が蓄積しています。
多くの科学者は、まずアミロイドが蓄積し、次にタウが蓄積して、シナプスと神経細胞がバラバラになると考えています。
Casaletto博士は以前、生きている成人の髄液や解剖された成人の脳組織で測定したシナプスの完全性が、アミロイドとタウ、およびタウと神経変性の関係を弱めているように見えることを発見しています。
Casaletto博士は話します。
「シナプスの完全性に関連するタンパク質のレベルが高い高齢者では、アルツハイマー病につながるこの神経毒性のカスケードが減衰するようです。これら2つの研究を総合すると、アルツハイマー病に対して脳をサポートするために、シナプスの健康を維持することの潜在的重要性を示しています。」


この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!
関連記事
新着記事
-
行動障害を引き起こす慢性的なストレス2023.01.29人体・脳
-
機嫌で変わる言語処理2023.01.28人体・脳
-
若々しさを促進する「運動」2023.01.27健康
-
免疫機能の低下「夫婦不仲」2023.01.26健康
-
食よりも効果のある「総摂取カロリーを減らす」2023.01.25健康
-
腸を守る「教育」2023.01.24健康
-
歩行や自転車を楽しむ人の特徴「自分の住んでいる地域が好き」2023.01.23健康
-
出生率の低下は「子供を持ちたいという願望の減少」ではない2023.01.22社会
-
うつ病リスク軽減「他者からのサポート」2023.01.21健康
-
メラノーマの発症が少ない「ビタミンD定期摂取者」2023.01.20健康
よく読まれている記事
N E W S & P O P U L A R最 新 記 事 & 人 気 記 事
WHAT'S NEW !!
-
行動障害を引き起こす慢性的なストレス
【行動障害を引き起こす慢性的なストレス】 慢性的なストレスは快楽を喪失させ、抑うつなどの行動障害を引き起こすようです。 It's clear that chronic stress can impa... -
機嫌で変わる言語処理
【機嫌で変わる言語処理】 気分が悪い時、言語処理にどのような影響があるかアリゾナ大学の研究者たちが調査しました。 When people are in a negative mood, they may ... -
若々しさを促進する「運動」
【若々しさを促進する「運動」】 運動は若々しさを促進することを裏付ける研究結果が発表されました。 A recent paper published in the Journal of Physiology deepene... -
免疫機能の低下「夫婦不仲」
【免疫機能の低下「夫婦不仲」】 「夫婦は似てくる」と日本では言われていますが、コミュニケーションが不良である夫婦は免疫脳低下などの特徴が見られたようです。 A t...
-
なぜタイピングより手書きの方が、記憶に定着するのか
【なぜタイピングより手書きの方が、記憶に定着するのか】 ノルウェー科学技術大学の研究によると、手書きの方が物事をよく覚えることが判明しました。 様々なコンピュ... -
大面積有機フォトダイオードに置き換わる?「シリコンフォトダイオード技術」
【大面積有機フォトダイオードに置き換わる?「シリコンフォトダイオード技術」】 ダイオードと言うのは、光検出器の事で光が入射されるとエネルギーを生むというデバイ... -
「世界最長寿記録を更新し132歳まで生きる人が出現する」ベイズ統計学予測
【「世界最長寿記録を更新し132歳まで生きる人が出現する」ベイズ統計学予測】 ベイズ統計学を用いると、最長寿記録122歳という世界記録はほぼ確実に破られ、125歳から1...
News
- 新着記事 -
Popular
- 人気記事 -
H A P P I N E S S幸 福
人気 (❁´ω`❁)
M E A L食 事
B R A I N脳
人気 (❁´ω`❁)
H E A L T H健 康
人気 (❁´ω`❁)
-
人体・脳
健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」
【健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」】 ボリビア・アマゾンの先住民族であるツィマネ族が、アメリカやヨーロッパの人々に比べて... -
健康
高強度インターバルトレーニングは、適度な運動よりも心臓を強化する
【心臓を強化する高強度インターバルトレーニング】 ノルウェー科学技術大学の研究によると、トレーニングの強度が、病気の重症度を軽減し、心臓機能を改善し、作業能力... -
人体・脳
満腹感を抑制するリポカリン-2(LCN2)
【満腹感を抑制するリポカリン-2(LCN2)】 リポカリン-2(LCN2)ホルモンの摂取により、食物摂取を抑制し満腹度が高まる事は、マウス実験で知られていましたが、ヒト科...
-
人体・脳
健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」
【健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」】 ボリビア・アマゾンの先住民族であるツィマネ族が、アメリカやヨーロッパの人々に比べて... -
健康
高強度インターバルトレーニングは、適度な運動よりも心臓を強化する
【心臓を強化する高強度インターバルトレーニング】 ノルウェー科学技術大学の研究によると、トレーニングの強度が、病気の重症度を軽減し、心臓機能を改善し、作業能力... -
人体・脳
満腹感を抑制するリポカリン-2(LCN2)
【満腹感を抑制するリポカリン-2(LCN2)】 リポカリン-2(LCN2)ホルモンの摂取により、食物摂取を抑制し満腹度が高まる事は、マウス実験で知られていましたが、ヒト科...