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酸化ストレス値が低い「緑地の近くに住んでいる子供達」
私たちの身体は生物反応の酸化過程で、様々な有害な影響がでます。
研究者によると、緑地の近くに住んでいる子どもたちの酸化ストレスは低いようです。
The study concluded that greater exposure to vegetation is associated with lower levels of oxidative stress and that this association is observed regardless of the children’s physical activity.
参照元:https://www.isglobal.org/en/-/study-finds-lower-oxidative-stress-in-children-who-live-and-study-near-green-spaces
– バルセロナ国際保健研究所 Barcelona Institute for Global Health. 01.03.2022 –
ラ・カイシャ財団が支援するバルセロナ国際健康研究所(ISGlobal)が主導する研究により、様々な緑地への暴露と子供の酸化ストレスの関係が初めて分析されました。
この研究では、植生に触れる機会が多いほど酸化ストレスのレベルが低く、この関連性は子どもの運動量に関係なく観察されると結論付けています。
酸素は私たちの生命維持に必要な多くの生化学反応に不可欠ですが、その酸化過程で有害な反応性物質が発生し、体内ですぐに中和できない場合や、体内で修復できない損傷が生じる場合があります。
その結果、酸化ストレスと呼ばれるものが生じ、老化や病気の原因となるのです。
現在までに、さまざまな研究により、自宅周辺に緑地があることが健康に良い影響を与えること、特に緑があることで精神衛生が向上し、身体運動が奨励されるため、太り過ぎや肥満のリスクが低減することが明らかにされています。
しかし、植生が炎症や酸化ストレスなどの生物学的プロセスに及ぼす直接的な影響については、あまり注目されていません。
このことは、呼吸器疾患やアレルギー疾患において緑地が果たす役割を理解する上で、特に重要なことです。
300人以上のイタリアの子どもたちを分析した研究
研究チームは、緑地が子どもの酸化ストレスレベルの低下と関連するかどうか、また、この関連に身体活動が関与しているかどうかを調べるため、イタリア北西部の小都市アスティにある5つの小学校から、8~11歳の健康な子ども323人を分析しました。
保護者は、子どもがどの程度の頻度で身体活動を行ったかについてアンケートに回答しました。
酸化ストレスは、尿中のイソプロスタンという化合物の濃度を測定することで定量化されました。
住宅地と学校の緑地は正規化植生指数(NDVI)により定義され、植生面積も推定されました。
児童の自宅と学校周辺のNDVIを考慮し、それぞれの場所での滞在時間に応じて重み付けを行い、多地点曝露を求めました。
想定される説明
緑地と子どもの酸化ストレスの直接的な関連性については、いくつかの生物学的なメカニズムが考えられます。
最終著者のISGlobalの研究者兼非感染性疾患と環境プログラム責任者のジュディス・ガルシア-アイメリッヒ氏は話します。
アイメリッヒ氏:第一に、このような場所への露出が増えることで、自然環境に定着しやすい生物と接触し、子どもの免疫発達に寄与する可能性があります。第二に、緑地との接触は、太陽光からの紫外線によってビタミンDの合成を増加させることができます。ビタミンDは、酸化ストレスや炎症による悪影響を防ぐ抗酸化物質として作用します。最後に、植物は都市部の空気の質を向上させます。
身体活動への影響は見られず
緑地が近くにあることは身体活動の増加と関連し、それが酸化ストレスに影響を与えますが、この研究では、緑地と酸化ストレスの関連に運動が関与しているという証拠は見つかりませんでした。
アイメリッヒ氏は次のように結論づけます。
アイメリッヒ氏:過剰な酸化ストレスの短期的・長期的な健康への影響は不明であるため、さらなる研究を行い、緑地を好む都市・公衆衛生戦略を支援する必要です。


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