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COPD(慢性閉塞性肺疾患)の生活の質を上げる環境づくり
「慢性閉塞性肺疾患患者の生活の質を向上させる」研究が進められています。
研究者らは、大気汚染が少なく、緑や海との距離が近い場所に暮らす事が良い効果を得らえると述べています。
Air pollution and greater distance with green of blue spaces negatively impact the health-related quality of life in patients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD),
参照元:https://www.isglobal.org/en/-/practica-actividad-fisica-vigorosa-en-epoc-mejora-respuesta-corazon-al-ejercicio
– バルセロナグローバルヘルス研究所 Barcelona Institute for Global Health. 02.09.2021 –
大気汚染を減らし、緑や青の空間へのアクセスを増やす。COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者の生活の質を向上させるレシピ
(ISGlobal
la Caixa財団の支援を受けたバルセロナグローバルヘルス研究所(ISGlobal)が実施した新しい研究によると、大気汚染や緑地・青地との距離が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の健康関連QOLに悪影響を及ぼすことがわかりました。
この研究結果は、世界中で呼吸器疾患と闘っている多くの人々の生活の質を向上させる都市政策を実施する必要性を強調しています。
健康関連の生活の質は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の進行度を測る上で最も関連性の高いパラメータの一つとなっています。
ISGlobalの研究員であるJudith Garcia-Aymerich氏は話します。
「いくつかの臨床的・心理的要因がこのパラメータに影響を与えることはわかっていますが、環境要因の影響についてはほとんどわかっていません。」
そこで、Garcia-Aymerich研究員らは、中等度から高度まで重症度の異なる400人以上のCOPD患者を対象に、健康関連QOLとさまざまな環境因子への曝露との関連性を初めて評価しました。
対象となったのは、バルセロナ在住のCOPD患者で、COPD評価テストを受け、臨床アンケートに回答しました。
研究チームは、大気汚染物質(NO2、PM2.5、PM10の微粒子、PM2.5の吸収率)、交通騒音、地表温度、緑地や青地(水辺)までの距離など、各患者の居住地での暴露状況を調べました。
その結果、NO2とPM2.5吸光度(燃焼時に発生する黒い炭素の指標)の高いレベルへの曝露は、評価および精神衛生に関する質問票のスコアの悪化と関連していることがわかりました。
本研究の筆頭著者であるSubhabrata Moitra氏は話します。
「この結果は、青や緑の空間が持つ休息効果によって説明できるかもしれませんが、これらの空間が身体活動を促進することにも関係しているのかもしれません。」
著者らは、縦断的な研究ではなく横断的な研究であるため、因果関係を証明することはできず、各汚染物質の寄与をよりよく理解するためにはさらなる研究が必要であることを認めています。
Garcia-Aymerich研究員は話します。
「地中海地域の住民を対象とした初めての研究で、大気汚染物質(特にNO2と黒色炭素)と緑地や青地への距離が、COPD患者の健康関連QOLに悪影響を及ぼすという証拠が得られました。」
これらの結果は、臨床医がCOPD患者のQOL(生活の質)を向上させるために、例えば交通量の多い場所を避けたり、青や緑のスペースの近くにいることを推奨するのに役立ちます。
また、都市の大気汚染を抑制し、世界中で呼吸器疾患と共存している多くの人々の生活の質を向上させるための都市政策を再定義する必要性も強調しています。
今回の調査結果は、2021年9月5日から8日に開催される欧州呼吸器学会2021年大会の直前に発表されました。
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