自分には才能も優秀さもないと感じてしまう理由

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自分には才能も優秀さもないと感じてしまう理由

学術分野で成功するには「才能」「優秀さ」が必要だと思えば思う程、女性・キャリアの浅い学者は「自分にはそれがない」と感じるようです。このような「偽者体験」が成功者としての道をふさいでいると、研究者は見ています。

The more an academic discipline is perceived to require raw talent or “brilliance” for success, the more both women and early-career academics feel professionally inadequate.

参照元:https://www.nyu.edu/about/news-publications/news/2021/august/women–early-career-academics-more-likely-to-feel-like–impostor.html
– ニューヨーク大学 New York University. Aug 4, 2021 –

米国の心理学研究者チームが、米国の研究者を対象に行った新しい研究によると、ある学問分野で成功するためには生来の才能や「輝き」が必要であると考えられているほど、女性やキャリアの浅い研究者は、職業的に不十分であると感じていることがわかった。

この結果は、Journal of Educational Psychology誌に掲載されたもので、特に、高等教育や学術界に伝統的に少ない人種や民族(黒人、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、ラテン系アメリカ人、アメリカインディアン、アラスカ先住民、ハワイ先住民、その他の太平洋諸島の人々)の女性に顕著に見られました。

ニューヨーク大学の博士課程に在籍し、本論文の主執筆者であるMelis Muradoglu氏は話します。

「これまでの研究から、これらのグループの女性は、自分の知性に対する否定的なジェンダー、人種、民族のステレオタイプの対象となっているため、輝きを求める分野でより強い偽者感情を抱いていると考えられます。」

ニューヨーク大学心理学部の教授で論文の筆頭著者であるAndrei Cimpian氏は話します。

「成績の良い人の多くは、自分の能力や成功を証明しているにもかかわらず、自分は不十分だと感じています。今回の研究では、このような感情は、特定の状況、つまり優秀さが強調されている状況で現れやすいことがわかりました。ですから、高等教育では、すべての学者が成功できると感じられるような環境をどのようにして作るかに焦点を当てるべきです。」

また、プリンストン大学のSarah-Jane Leslie氏と共同で行った研究では、女性やアフリカ系アメリカ人は、知的能力の高さが成功の鍵を握ると考えられている職業に就く機会が少ないことが明らかになりました。

Journal of Educational Psychology誌に掲載されたMuradoglu氏、Cimpian氏、Leslie氏の3人は、エディンバラ大学のZachary Horne氏、ヴィクトリア大学のMatthew Hammond氏と共同で、「インポスター現象」(能力や成功の証拠があるにもかかわらず、知的能力が不十分であると感じる現象)が、知的能力が重視される学問の世界でどのように現れているのかを解明しようとしました。

そこで研究チームは、米国の公私立9大学、80以上の分野に所属する約5,000人の研究者(教員(テニュアトラック、テニュアトラック以外)、ポスドク、研修医、大学院生)を対象としたアンケート調査の回答を分析しました。自然科学、社会科学、人文科学、医学など、80以上の分野から選ばれました。

この調査では、参加者に「偽者意識」と「秀才志向」の経験度を尋ねました。

「偽者意識」・・・例えば、「自分にどれだけ知識や能力がないのか、他人に知られてしまうのではないかと不安になることがある」

「秀才志向」・・・例えば、「個人的には、(自分の専門分野の)トップ研究者になるには、教えられないような特別な才能が必要だと思う」

その結果、研究参加者の間で、成功するためには「優秀さ」や「生来の才能」が必要であると認識されている分野ほど、女性やアーリーキャリアの研究者(大学院生やポスドク)が、他のグループに比べて「偽者」であると感じていると報告していることがわかりました。

さらに、優秀さが重視される分野での偽者意識は、伝統的に学界での地位が低い人種や民族の女性に特に強く見られました。

さらに、性別、キャリアステージ、人種、民族にかかわらず、偽者感情が強いと回答した研究者は、自分の分野への帰属意識(同僚とのつながりや受け入れられているという感覚)や、将来の成功に対する自信が低いと回答しており、偽者体験が研究者の成功を制限している可能性が指摘されました。

研究者らは、偽者現象はしばしば個人的な悩みとして理解され、描かれることが多いですが、今回の調査結果は、偽者体験は、学者がナビゲートするコンテクストの機能であることを示していると強調しています。

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