精神衛生問題を抱える「複雑な病状を持つ子供の親」

複雑な病状を持つ子供の親はメンタルヘルスの問題を抱える可能性が高く、研究者はそのような親への支援が必要であるとの見解を示しています。

About 20 percent of parents of CMC reported poor or fair mental health, more than 5 times the proportion of parents of children who did not have medical problems.

参照元：https://www.urmc.rochester.edu/news/story/parents-of-children-with-complex-medical-conditions-more-likely-to-struggle-with-mental-health
– ロチェスター大学メディカルセンター University of Rochester Medical Center. Jun. 21, 2021 –

ロチェスター大学メディカルセンター（URMC）とゴリサノ小児病院の研究者らが行った研究によると、最も複雑な病状を持つ子供の親は、精神的な健康状態が良くない、あるいはかなり悪いと報告する傾向があり、地域の助けを探すのに苦労していることが分かりました。

この研究結果は、米国小児科学会（AAP）の機関誌「Pediatrics」に掲載されました。

この研究は、「医療的に複雑な子供を持つ親の精神的健康に関する全国調査」と題し、「医療的に複雑な子供を持つ家庭」、「特別な医療が必要な非複雑な子供を持つ家庭」、「特別な医療が必要でない子供を持つ家庭」の3つのグループに分けて、親が報告したデータを調査しました。

CMCは、最も複雑な医療事情を抱える1％の子どもたちと定義されています。

CMCの子どもたちは、複数の慢性疾患や障害を抱え、医療サービスを頻繁に利用する傾向があります。

CMCの例としては、脳性麻痺、重篤な先天性心疾患、遺伝性疾患などがあります。

このような子どもたちには大きなニーズがあるため、介護者は子どもの治療と他の家族の責任を果たすことを両立させることが課題となっています。

今回の調査では、以下のことがわかりました。

CMCの保護者の約20％が、精神的な健康状態が良くない、またはまあまあであると回答しており、これは医学的な問題を抱えていない子どもの保護者の5倍以上にあたります。

-また、CMCの保護者の36％が、困難に遭遇したときに地域のどこに相談したらよいかわからないと回答しており、これは医学的問題を抱えていない子どもの保護者の2倍以上の割合でした。

URMC小児科のゴリサノ小児病院の助教授であり、本研究の筆頭著者であるナサニエル・バイエル医学博士は話します。

「この結果から、医療システムはCMCの親に積極的にサービスを提供し、支援リソースを提供すべきであり、メンタルヘルスを優先させるべきです。このような家族とパートナーを組む際には、子どもだけでなく、親のケアもしっかりと行う必要があります。親のニーズを認識し、サービスにつなげるのは、小児科医や医療チームとしての私たちの仕事です。」

「また、CMCの保護者のうち、ピアサポートグループへのアクセスを報告した人は15％しかいませんでした。ピアサポートグループは、家族が意見を交換したり、お互いに支え合ったりするために重要なものです。これらのギャップに対処するために、病院は、ピアツーピアのサポートグループを提供し、CMCの介護者の健康と精神的な健康をサポートするための家族諮問委員会を成長させるべきです。このレベルのニーズを持つ子どもを持つことは、家族にさまざまな影響を与えます。適切なサポートがあれば、家族は成功し、目標を達成することができます。」

適切なサポートがなければ、家族は絶え間ない介護による精神的・肉体的負担、経済的ストレス、雇用問題などに悩まされることになります。

また、資金や報酬が不足しているコミュニティサービスや訪問看護からの支援を得られないこともあります。

CMCの家族や親に関する研究は、21世紀に入って医療介入が進み、複雑な状態の子供が長生きするようになったことから、新たな分野として注目されています。

この10年間で、これらの子どもたちとその家族について議論し、焦点を当てることへの関心が高まっています。

なぜなら、彼らが複雑な医療、教育、地域社会のシステムをうまく乗り越えるためには、より多くのサポートが必要であることが認識されてきているからです。

今回の調査では、社会経済的地位（SES）の低い家族は、孤立感が強く、支援を求める方法がわからないと報告していることもわかりました。

バイエル医学博士は話します。

「社会経済的地位の低い家族は、サービスに簡単にアクセスするためのリソースを持っていないことがよくあります。クリニックに通うための交通手段がなかったり、地域のコミュニティリソースを探すのに苦労したりします。家族が食生活や灯火の確保に苦労している場合、子どもの医療ニーズを管理したり、自分自身のケアをしたりすることが難しくなります。」

バイエル医学博士は、医療システムがより多くのピア・ツー・ピアのサービスを提供することに加えて、連邦政府や州がCMCの親に対する支援を強化することが、CMCの親の助けになるとしています。

これには、在宅医療サービスや介護者への払い戻しの拡大、障害のある子どもへのサービスやアクセスの拡大、早期介入支援の改善などが含まれます。

また、子どもと親の両方を対象とした、行動保健・福祉サービスも拡大すべきです。

バイエル医学博士は話します。

「メンタルヘルスは健康の一部です。親や介護者のメンタルヘルスは、子どもの健康に大きな影響を与える重要な問題です。私たちは、親のメンタルヘルスについてもっと話し、そのためのスクリーニングを行い、積極的にサポートする必要があります。」

バイエル医学博士をはじめとする研究チームは、CMCの親のメンタルヘルス、家族の回復力、困難に適応する能力などについて、今後も研究を続けていく予定です。

研究チームは現在、ロチェスター地域のCMCの家族を対象に調査とインタビューを行い、これらのテーマを検討しています。

複雑な病状の子どもを持つ家族において、レジリエンスと情緒的な健康がどのように発達するかを研究した後、家族支援プログラムを構築し、子どもと介護者の健康に与える影響を調査することを計画しています。