
新着記事
セロトニンと脳のサイズの関連
幸せを感じている時、幸せ物質であるセロトニンの脳内の神経伝達が多く発見されています。幸福につながるとして非常に好印象のある物質ですが、他にもものすごく大きな脳の役割を担っているかもしれないという研究結果が発表されました。
The research team of Wieland Huttner at the Max Planck Institute of Molecular Cell Biology and Genetics, who is one of the institute’s founding directors, has investigated the cause of the evolutionary expansion of the human neocortex in many studies.
参照元:https://www.mpg.de/15910593/happiness-and-the-evolution-of-brain-size
人が幸福を感じる時、神経伝達物質であるセロトニンが関与している事から、セロトニンは幸せ物質と呼ばれることがあります。
そんなセロトニンですが、この度新しいセロトニンの役割が解明されたかもしれないという研究結果が、マックス・プランク研究所から発表されました。
人類の進化の間に、特に新皮質と呼ばれる特定の部分で、脳のサイズが増加しました。
新皮質は、私たちが話し、夢を見て、考えることを可能にしている部位です。
新皮質の拡大増加の根底にある原因を探して、ドレスデンのマックスプランク分子細胞生物学および遺伝学研究所の研究者は、大学病院のカールグスタフカルスドレスデンの同僚と一緒に、以前に多くの機能を特定しました。
これらの機能は通常、いわゆる基底前駆細胞で細胞固有に作用し、発達中の新皮質の幹細胞はその拡大において極めて重要な役割を果たします。
研究者たちは現在、幸福を仲介するために脳内で機能することが知られている幸福神経伝達物質セロトニンの新しい役割を報告しています。
発達中のヒト新皮質における基底前駆細胞の成長因子として細胞外因的に作用するという機能のために、胎盤由来のセロトニンは、おそらく人間の新皮質の進化的拡大に貢献しました。
マックスプランク分子細胞生物学および遺伝学研究所の創設ディレクターの1人であるWieland Huttner氏の研究チームは、多くの研究でヒト新皮質の進化的拡大の原因を調査しました。
彼の研究室からの新しい研究は、このプロセスにおける神経伝達物質セロトニンの役割に焦点を当てています。
セロトニンは、幸福と幸福に寄与する神経細胞間でメッセージを伝達するため、しばしば幸福神経伝達物質と呼ばれます。
ただし、脳の発達中のそのような神経伝達物質の潜在的な役割はまだ詳細に調査されていません。
発生中の胚では、胎盤がセロトニンを生成し、セロトニンは血液循環を介して脳に到達します。
Wieland Huttner氏のグループのポスドク研究員LeiXing氏は、カナダでの博士課程で神経伝達物質を研究していました。その後ドレスデンで研究プロジェクトを始めたとき、彼は発達中の脳におけるセロトニンの役割を調査することに興味がありました。
Lei Xing氏は説明します。
「過去にグループによって生成されたデータセットを利用して、セロトニン受容体HTR2Aが胎児のヒトで発現しているが、胚性マウスの新皮質では発現していないことを発見しました。」
「セロトニンは、下流のシグナル伝達を活性化するためにこの受容体に結合する必要があります。この受容体が、なぜ人間の脳が大きいのかという疑問の鍵の1つになるのではないかと自問しました。」
これを探求するために、研究者らは胚性マウス新皮質でHTR2A受容体の産生を誘導しました。
Lei Xing氏は続けます。
「確かに、この受容体を活性化することにより、セロトニンが 一連の反応を引き起こし、その結果、発達中の脳でより多くの基底前駆細胞が生成されました。より多くの基底前駆細胞は、皮質ニューロンの産生を増加させることができ、それはより大きな脳への道を開くかもしれません。」
Wieland Huttner氏は説明します。
「結論として、私たちの研究は、高度に発達した脳、特にヒトの基底前駆細胞の成長因子としてのセロトニンの新しい役割を明らかにしています。私たちのデータは、セロトニンが発達と人間の進化の間の新皮質の拡大に関係していることを示しています。」
「セロトニンの異常なシグナル伝達とその受容体HTR2Aの発現または変異の障害は、ダウン症、注意欠陥多動性障害、自閉症などのさまざまな神経発達障害および精神障害で観察されています。」
「私たちの調査結果は、セロトニンの機能不全と胎児の脳の発達中のその受容体は先天性障害を引き起こす可能性があり、治療手段のための新しいアプローチを示唆するかもしれません。」


この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!
関連記事
-
女性の方が大きい「閉経後の脳の変化」2022.07.05
-
全てが悪いものではない「ストレスが引き金となる睡眠効果」2022.07.04
-
「近くの伝達・遠くの伝達」脳トレーニングに効果がある人と、その理由2022.06.29
-
辛さが好きな人、苦手な人「遺伝子が何を食させるか決めているかもしれない」2022.06.24
-
買い物前後や中途にコーヒーは禁物「買い物衝動が増すカフェイン」2022.06.21
-
体内の免疫細胞の構成が早々に弱まる「免疫の老化を促進するストレス 」2022.06.17
-
人々が最適ではなく適切な選択をしてしまう理由2022.06.13
-
関係記憶を構築する睡眠2022.06.12
新着記事
-
健康な食生活につながる「ダイエット中のたんぱく質摂取量増加」2022.07.06健康
-
女性の方が大きい「閉経後の脳の変化」2022.07.05人体・脳
-
全てが悪いものではない「ストレスが引き金となる睡眠効果」2022.07.04人体・脳
-
「救急外来や入院が22%多い」大麻使用者2022.07.03健康
-
個人の利点だけに留まらない「マインドフルネスの本当の報酬」2022.07.02思考・瞑想
-
女性が圧倒的に乾癬発症率が低い理由「エストラジオール 」2022.07.01健康
-
真実味を増す「自分が感じる年齢までしか年をとらない」2022.06.30健康
-
「近くの伝達・遠くの伝達」脳トレーニングに効果がある人と、その理由2022.06.29人体・脳
-
10代の75%が推奨される日常の運動量をこなしていない2022.06.28健康
-
正当な評価がなされていない?「科学分野の女性の貢献が評価されていない」2022.06.27社会
よく読まれている記事
N E W S & P O P U L A R最 新 記 事 & 人 気 記 事
WHAT'S NEW !!
-
健康な食生活につながる「ダイエット中のたんぱく質摂取量増加」
【健康な食生活につながる「ダイエット中のたんぱく質摂取量増加」】 ダイエット中のタンパク質摂取量の増加は健康的な食生活につながるようです。 Eating a larger pro... -
女性の方が大きい「閉経後の脳の変化」
【女性の方が大きい「閉経後の脳の変化」】 閉経後の女性は、同年代の男性と比べて脳の変化が大きいようです。 Women who have gone through menopause may have more o... -
全てが悪いものではない「ストレスが引き金となる睡眠効果」
【全てが悪いものではない「ストレスが引き金となる睡眠効果」】 ストレスが引き金となる睡眠が、その後の不安への対処に役立つようです。 Stress boosts a kind of sle... -
「救急外来や入院が22%多い」大麻使用者
【「救急外来や入院が22%多い」大麻使用者】 大麻を使用する人は、使用しない人に比べて救急外来への受診や入院が22%多いそうです。 Visits to the emergency departm...
-
なぜタイピングより手書きの方が、記憶に定着するのか
【なぜタイピングより手書きの方が、記憶に定着するのか】 ノルウェー科学技術大学の研究によると、手書きの方が物事をよく覚えることが判明しました。 様々なコンピュ... -
「世界最長寿記録を更新し132歳まで生きる人が出現する」ベイズ統計学予測
【「世界最長寿記録を更新し132歳まで生きる人が出現する」ベイズ統計学予測】 ベイズ統計学を用いると、最長寿記録122歳という世界記録はほぼ確実に破られ、125歳から1... -
大面積有機フォトダイオードに置き換わる?「シリコンフォトダイオード技術」
【大面積有機フォトダイオードに置き換わる?「シリコンフォトダイオード技術」】 ダイオードと言うのは、光検出器の事で光が入射されるとエネルギーを生むというデバイ...
News
- 新着記事 -
Popular
- 人気記事 -
H A P P I N E S S幸 福
人気 (❁´ω`❁)
M E A L食 事
B R A I N脳
人気 (❁´ω`❁)
H E A L T H健 康
人気 (❁´ω`❁)
-
健康
高強度インターバルトレーニングは、適度な運動よりも心臓を強化する
【心臓を強化する高強度インターバルトレーニング】 ノルウェー科学技術大学の研究によると、トレーニングの強度が、病気の重症度を軽減し、心臓機能を改善し、作業能力... -
人体・脳
健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」
【健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」】 ボリビア・アマゾンの先住民族であるツィマネ族が、アメリカやヨーロッパの人々に比べて... -
人体・脳
寒冷散歩が脂肪燃焼を増幅させる理由
【寒冷散歩が脂肪燃焼を増幅させる理由】 ウィーン医科大学の研究チームが、寒冷化においてヒトとマウスのビタミンAのレベルが上昇する事を発見しました。 ビタミンAは...
-
健康
高強度インターバルトレーニングは、適度な運動よりも心臓を強化する
【心臓を強化する高強度インターバルトレーニング】 ノルウェー科学技術大学の研究によると、トレーニングの強度が、病気の重症度を軽減し、心臓機能を改善し、作業能力... -
人体・脳
健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」
【健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」】 ボリビア・アマゾンの先住民族であるツィマネ族が、アメリカやヨーロッパの人々に比べて... -
人体・脳
寒冷散歩が脂肪燃焼を増幅させる理由
【寒冷散歩が脂肪燃焼を増幅させる理由】 ウィーン医科大学の研究チームが、寒冷化においてヒトとマウスのビタミンAのレベルが上昇する事を発見しました。 ビタミンAは...