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援助行動を司る脳の部位が特定される
最近誰かを助けましたか?その行動は、自分を助ける為の行動で活性化する脳の領域とは、異なる領域が活性化された結果のようです。
An area of the brain specifically involved in putting in effort to help others out has been pinpointed by scientists at the University of Birmingham and University of Oxford.
参照元:https://www.birmingham.ac.uk/news/2022/scientists-pinpoint-brain-region-responsible-for-effortful-helping-behaviour
– バーミンガム大学 University of Birmingham. 2022.08.27 –
バーミンガム大学とオックスフォード大学の研究チームは、他者を助けるために努力することに特に関与する脳の領域を特定した。
Current Biology誌に掲載されたこの研究は、努力型の利他的行動(他人を助けるための選択)が、自分を助けるための肉体的にきつい選択をするときとは異なる脳の部位で行われることを示しています。
このような意思決定を行う際に脳内で何が起こっているのかをより正確に理解することは、臨床医が精神病質者行動の治療法を開発するのに役立つと思われます。
また、ボランティア活動や、地球温暖化を遅らせるために廃棄物をリサイクルしたり、見知らぬ人を助けるために立ち止まったりといった、日常的な努力型の援助行動を、なぜ人が進んで行うのかをよりよく理解するためにも役立つと思われます。
今回発見された前帯状皮質回(ACCg)は、脳の前面に位置する部位です。
この領域は、社会的行動に関与することが知られているが、これまで、他人を助けるために努力することとの関連は指摘されていませんでした。
興味深いことに、研究者らは、自分自身の利益となるような努力を要する決定をした場合には、ACCgが活性化しないことを明らかにしました。
この論文の筆頭著者であるパトリシア・ロックウッド博士は話します。
ロックウッド博士:ドアを開けてあげることから、ボランティア活動まで、私たちはしばしば、他人を助けるために努力を惜しまないかどうかを決める必要がありますが、こうした行為の背後にある脳のメカニズムは、これまでよく分かっていませんでした。
努力する必要がある時に活性化する特定の脳領域を特定することで、ある人は人を助けるために、たとえそれが直接自分のためにならない場合でも、しばしば肉体的に厳しい決断をするようになるが、そうでない人はそうしない理由を解明することに一歩近づきました。
この研究では、研究者は、18歳から35歳の38人の参加者を対象にしました。
参加者はそれぞれ、努力型の意思決定課題に参加し、共感レベルを自己評価するためのアンケートに回答するよう求められました。
参加者は、機能的MRIスキャンを受けながら意思決定を行いました。
これは、自分自身や誰かを助けるために「働く」か「休む」かの決断をしたときに活性化される脳のさまざまな領域を特定するものです。
働くことを選択した人は、握力を測定する装置を握らなければなりません。
握力は、リアルタイムで画面に表示される閾値に達するまで長く続けなければなりません。
そして、自分のために働くのか、他人のために働くのか、それぞれの決断を迫られました。この報酬は、自分のためか、それとも他人のためか、それぞれ異なるポイント数でお金に換算されます。
研究チームは、新しい統計学的手法を使ってデータを分析し、脳内のパターンを特定することに成功しました。
その結果、ACCgという脳領域が、誰かを助けるために努力をするときには努力のパターンを示し、自分に報酬を与えるために努力をするときには全く活性化しないことがわかりました。
興味深いことに、共感力が非常に高いと答えた人たちが、ACCgの努力パターンを最も強くしていました。
さらに研究チームは、ACCgで努力をより強く表現している人たちは、助けるために握力をより多く発揮することも発見しました。
研究チームは今後、脳卒中やその他の脳損傷によって脳のその領域に損傷を受けた人の努力型援助行動がどうなるかを調査する予定です。
また、反社会的な行動が多い人の場合はどうなるのか、活動や人助けに力を入れるかどうかも調査する予定です。
この研究は、UK Research and Innovation、Wellcome Trust、Royal Societyの支援を受け、また、オックスフォードのクライストチャーチ、ジェイコブス財団の支援も受けました。


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