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ストレスを速やかに回復させるタベルナンタログ（TBG）「毒性や幻覚作用なし」

タベルナンタログ（TBG）は毒性や幻覚作用がなく、マウスのストレスの影響を速やかに回復させることが判明しました。

“It was very surprising that a single treatment with a low dose had such dramatic effects within a day,” said corresponding author Yi Zuo, professor of molecular, cell, and developmental biology at UC Santa Cruz. “I had a hard time believing it even when I saw the initial data.”

参照元：https://news.ucsc.edu/2021/05/tabernanthalog.html
– カリフォルニア大学サンタクルーズ校 University of California Santa Cruz. May 25, 2021 –

サイケデリック・ドラッグであるイボガインに構造が似ていますが、その毒性や幻覚作用がない新規化合物が、マウスのストレスの影響を速やかに回復させることが判明しました。

研究者らは、タベルナンタログ（TBG）を単回投与することで、不安や認知的な柔軟性の欠如など、ストレスによって引き起こされる行動障害を修正することができること、また、神経細胞の結合の再生を促進し、ストレスによって破壊された脳内の神経回路を回復させることを発見しました。

この研究成果は、5月25日付けでMolecular Psychiatry誌に掲載されました。

カリフォルニア大学サンタクルーズ校の分子・細胞・発生生物学教授である対応著者のYi Zuo氏は話します。

「低用量の1回の治療で、1日以内にこれほど劇的な効果が得られたことは非常に驚きでした。初期のデータを見たときも、なかなか信じられませんでした。」

TBGは、共著者であるUC DavisのDavid Olsonの研究室で開発されました。

Zuo氏の研究室は、2020年にNatureで報告されたTBGの初期研究をOlson氏と共同で行いました。

今回の研究では、マウスを数日間にわたって予測不可能な軽度のストレス要因にさらすプロトコルを用いて、ストレスの悪影響に着目しました。

ストレスは、行動レベルでは、不安感の増大、感覚処理の障害、意思決定の柔軟性の低下などを引き起こします。

脳内では、ストレスによって神経細胞間の結合が乱れ、神経回路が変化して、興奮と抑制のバランスが崩れます。

Zuo氏は話します。

「驚くべきことに、TBGはストレスの影響をすべて逆転させたのです。今回の研究は、精神疾患に対するサイケデリックアナログの治療効果の根底にある神経メカニズムについて重要な洞察を与え、その細胞および回路メカニズムを解明するための今後の研究に道を開くものです。」

近年、依存症、うつ病、不安神経症、心的外傷後ストレス障害などの病気の治療に、サイケデリック物質を用いることが再び注目されています。

しかし、これらの薬物の幻覚作用は依然として懸念されており、科学者たちは、幻覚が治療上重要なものなのか、それとも単なる副作用なのかわからずにいました。

イボガインは依存症の治療に期待されていますが、強力な幻覚剤であることに加えて、危険な不整脈を引き起こします。

TBGはまだヒトでの実験は行われていませんが、動物実験ではイボガインの毒性はなく、既知の幻覚剤で起こるマウスの頭の痙攣行動も誘発しませんでした。

TBGの初期の研究では、げっ歯類において、抗うつ作用や依存性行動の減少が確認されています。

共同研究者のMichelle Tjia氏は、当時、Zuoの研究室でストレスの影響を研究していた大学院生でしたが、今回の研究を始めました。

Tjia氏がポスドクになって去った後は、共同第一著者で研究室のプロジェクトサイエンティストであるJu Lu氏が追加の研究を主導しました。

研究者たちは、ストレスに対する行動反応やTBGによる治療効果を評価するために、さまざまなテストを行いました。

また、マウスの脳内の変化を神経細胞レベルで評価するために、画像診断も行いました。

複雑な精神疾患の研究には、NIHの規定に従い、Institutional Animal Care and Use Committeeの審査を受けて承認された動物モデルを用いた研究が不可欠です。

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