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失敗率を大幅に下げることができる?「精液の天然ゲルを使用した避妊薬」
コンドームや殺精子剤などの市販の避妊具は、平均13%~21%の失敗率があるそうです。
研究者たちは、精液の天然ゲルを使用した避妊薬を開発しています。
A discovery that blocks the normal transition of semen from a thick gel to a liquid shows promise for development of a new form of non-hormonal, over-the-counter contraception.
参照元:https://news.wsu.edu/press-release/2022/02/07/trapping-sperm-in-semens-natural-gel-could-lead-to-new-contraceptive/
– ワシントン州立大学 Washington State University. February 7, 2022 –
精液が濃厚なゲル状から液状に変化するのを阻害する発見があり、新しい形の非ホルモン性市販避妊薬の開発につながる可能性がある。
ワシントン州立大学率いる研究チームはこのほど、ヒトの射精サンプルに含まれる前立腺特異抗原をブロックすると、精液が厚いゲル状のまま残り、大部分の精子が捕捉されることを明らかにしました。
通常、精液は液化し、精子は女性の生殖器官内を泳ぎ、卵子と受精する。
今回の発見は、そのプロセスを止めることができるもので、『Biology of Reproduction』誌に詳細が報告されています。
「私たちの目標は、これを簡単に入手できる女性用避妊薬として開発することです。コンドームと組み合わせて使用することで、失敗率を大幅に下げることができます。」
現在、コンドームや殺精子剤などの市販の避妊具は、平均13%~21%の失敗率があると、研究の著者達は指摘しています。
IUDや避妊ピルなどのホルモン系避妊具は、失敗率は低いものの、副作用があり、必ずしも簡単に入手できるわけではなく、価格も手ごろではない。
WSUの研究チームは、別の生殖研究において一部のメスマウスが妊娠しないことが偶然発見された後、2015年からこの避妊法の研究に取り組んできました。
さらに調査したところ、研究者はオスの精液が固形でとどまっていることを発見しました。
そこで研究者らは、マウスの精液の液化プロセスを意図的に止めることを試み、AEBSFという非特異的プロテアーゼ阻害剤を用いて、精子の動きを阻害し、マウスの生殖能力を低下させることができ、その結果を先のBiology of Reproduction論文に詳述しています。
今回の研究では、この結果をヒトのサンプルに反映させられるかどうかを確認する作業を行いました。
その結果、AEBSFに避妊効果があることがわかったが、それが単に毒性によるものかどうかは不明でした。
そこで、ヒトの精子に含まれる前立腺特異抗原(PSA)を標的とする抗体を用いました。
PSAを選んだのは、液化における主要な活性タンパク質であり、ヒトには存在するがマウスには存在しない前立腺から大量に分泌されるからでした。
通常、射精後、PSAはセメノゲリンと呼ばれるゲル形成タンパク質に作用する、と筆頭著者のプラシャンス・アナムタスマクラ氏(WSU博士研究員としてこのプロジェクトに参加)は説明しています。
「セメノゲリンは、タンパク質の細かい網目でゲル状のネットワークを形成し、精子を捕捉する。PSAはその網目を切断し、精子は自由になるのです。PSA阻害剤である抗体を使って、その液状化をブロックできることを示しました。」
次のステップは、有害な副作用なしに、精液を液化するPSAの能力を効果的に阻止する、より特異的な低分子阻害剤を特定することです。
研究者達は、現在の殺精子剤が、HIVのような性感染症に対する自然な膣バリアを低下させることが示されていることに注目しています。
精液の液化プロセスそのものをターゲットにすることで、この進歩はその種の毒性を回避することができるが、より多くの研究を行う必要があります。
ウィヌタヤノン氏は話します。
「オフターゲット効果を望まないので、少し長いプロセスです。もし、これを避妊具に開発するのであれば、女性がよく使うものでしょうから、安全で意図しない作用がないものがいいのです。」


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