目の不自由な方に人工的な視覚を与えることができる「網膜インプラント」

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目の不自由な方に人工的な視覚を与えることができる「網膜インプラント」

ローザンヌ連邦工科大学の研究チームは、2015年から、カメラ付きのスマートグラスとマイクロコンピューターで動作する網膜インプラントを開発しています。
昨今の研究により、臨床試験の準備が整いました。

The next step was to check whether 10,500 light dots provide good enough resolution – and that’s where the virtual reality program came in. “Our simulations showed that the chosen number of dots, and therefore of electrodes, works well. Using any more wouldn’t deliver any real benefits to patients in terms of definition,” says Ghezzi. 

参照元:https://actu.epfl.ch/news/retinal-implants-can-give-artificial-vision-to-the/
– ローザンヌ連邦工科大学 Ecole Polytechnique Fédérale de Lausanne. 15.03.21 –

目の不自由な人の視力を回復させることは、奇跡やSFの世界のように聞こえます。

そしてそれは、科学者にとって常に最大の課題のひとつでもあります。

EPFLの工学部でMedtronic Chair in Neuroengineering(LNE)を務めるDiego Ghezzi氏は、この問題を研究の焦点としています。

2015年から、彼のチームは、カメラ付きのスマートグラスとマイクロコンピューターで動作する網膜インプラントを開発しています。

Ghezzi氏は話します。

「私たちのシステムは、電極を使って網膜細胞を刺激することで、目の不自由な人に人工的な視覚を与えることを目的としています。」

スマートグラスに内蔵されたカメラが視野内の画像を撮影し、そのデータをメガネのエンドピースに内蔵されたマイクロコンピューターに送ります。

マイクロコンピューターは、データを光信号に変換し、網膜インプラントの電極に送信します。

この電極が網膜を刺激することで、メガネをかけた人は白黒の簡略版の画像を見ることができます。

この簡易版は、網膜細胞が刺激されたときに現れる光のドットで構成されています。

しかし、形や物を見分けるためには、多くの光の点を解釈しなければなりません。

Ghezzi氏は話します。

「夜空の星を見ると、特定の星座がわかるようになるのと同じです。このシステムでは、目の不自由な患者さんにも同じように見えるでしょう。」

「ただ、このシステムは、まだ人間でのテストが行われていません。研究チームは、まず自分たちの結果を確かめる必要があります。というのも、医学的な承認を得るには長い時間がかかるため、まだこのデバイスを人間の患者に埋め込むことはできないからです。しかし、私たちは、仮想的にテストするプロセスを考え出しました。具体的には、患者がインプラントを装着したときの状態をシミュレートできるバーチャルリアリティプログラムを開発しました。」

この研究成果は、Communication Materials誌に掲載されました。

視覚の測定には、視野と解像度という2つのパラメータが用いられます。

そこで、技術者たちはこの同じ2つのパラメータを使ってシステムを評価しました。

開発した網膜インプラントには10,500個の電極があり、それぞれの電極が光のドットを発生させます。

Ghezzi氏は話します。

「電極の数が多すぎても、少なすぎてもいけません。再現された映像が見づらくならないように、ちょうどいい数にしなければなりませんでした。ドットの間隔は、患者さんが近くにある2つのドットを識別できる程度にしなければなりませんが、画像の解像度を確保するためには十分な数が必要です。」

また、それぞれの電極が確実に光のドットを生成できるようにしなければなりませんでした。

Ghezzi氏は話します。

「2つの電極が網膜の同じ部分を刺激することがないようにしたかったのです。そこで、網膜神経節細胞の活動を記録する電気生理学的なテストを行いました。その結果、それぞれの電極が確かに網膜の異なる部分を刺激していることが確認できました。」

「次に、10,500個の光のドットで十分な解像度が得られるかどうかを確認するために、バーチャルリアリティプログラムが使用されました。シミュレーションの結果、このドット数、つまり電極の数で十分に機能することがわかりました。これ以上ドット数を増やしても、患者さんに精細感を与えることはできません。」

「また、解像度は一定で、視野角を変えてテストを行いました。5度からスタートして、45度まで視野を広げました。飽和点は35度で、それ以上になると物体は安定したままになることがわかりました。」

これらの実験により、システムの能力をこれ以上向上させる必要はなく、臨床試験の準備が整ったことが証明されました。

しかし、この技術が実際の患者に移植されるまでには、もう少し時間がかかります。

今のところ、視力回復はSFの世界の話です。

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