氷が形成されるには熱エネルギーが必要

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氷が形成されるには熱エネルギーが必要

氷が形成され始める前に、水分子はお互いに反発し合い、その反発を克服するために十分なエネルギーを得る必要だという事がわかりました。つまり、氷になるためには熱が必要です。

In a paper published in Nature Communications, they made the remarkable observation that the water molecules repel each other and need to gain sufficient energy to overcome that repulsion before ice can start to form: It has to become hot, so to speak, before ice forms.

参照元:https://www.tugraz.at/en/tu-graz/services/news-stories/planet-research/singleview/article/erst-heiss-dann-kalt-neue-erkenntnisse-zur-entstehung-von-eis0/
– グラーツ工科大学 Graz University of Technology. 05/27/2021 –

水は、冷たい表面に接触すると凍り、氷になるというのはよく知られた事実です。

しかし、その正確なプロセスや、ミクロの世界での詳細については、これまでよくわかっていませんでした。

グラーツ工科大学実験物理学研究所のAnton Tamtögl氏は説明します。

「氷形成の最初のステップは “核形成 “と呼ばれ、移動性の高い個々の水分子が “お互いを見つけて合体する際に、10億分の1秒という非常に短い時間で起こります。」

従来の顕微鏡では、水分子の動きを追うには時間がかかりすぎるため、固体表面の上で分子が結合する様子を「観察」することはできませんでした。

今回、Tamtögl氏は、ケンブリッジ大学およびサリー大学の研究者グループとともに、新しい実験手法と計算機シミュレーションを用いて、グラフェン表面での氷の形成の最初のステップを追跡することに成功しました。

Nature Communications誌に掲載された論文によると、氷が形成され始める前に、水分子はお互いに反発し合い、その反発を克服するために十分なエネルギーを得る必要があるという驚くべき観察結果が得られました。

いわば、氷ができる前に、水が熱くならなければならないということです。

主任研究者のAnton Tamtögl氏は話します。

「(一般的な意味で)氷の核生成時に水分子間の反発が考慮されてきませんでしたが、今回の研究ですべてが変わるでしょう。」

この効果を発見したのは、ケンブリッジのキャベンディッシュ研究所で開発された、原子や分子の動きを追跡するために特別に設計された「ヘリウム・スピン・エコー(HeSE)」という手法です。

この装置は、レーダーのスピードトラップにかかった車から電波が散乱するのと同じように、表面上を動く分子からヘリウムを散乱させます。

散乱したヘリウムの数と、散乱後のエネルギーや速度を記録することで、原子や分子の動きを追うことができます。

HeSEの実験では、グラフェン(炭素の単原子層)の表面にある水分子が互いに反発することがわかりました。

この反発は、分子の配列が表面に対して垂直であることに起因しています。

このシナリオは、同じ極を持つ2つの磁石を一緒にすることに似ています。

これは、同じ極を持つ2つの磁石を合わせると、お互いに押し合ってしまうのと同じです。

氷の核生成を開始するためには、2つの分子のうち一方の分子が向きを変えなければなりません。

この方向転換にはエネルギーが必要であり、これが氷の結晶を成長させるために乗り越えなければならない障壁となります。

計算機シミュレーションでは、さまざまな配置にある水分子の正確なエネルギーがマッピングされ、互いに接近した分子間の相互作用が計算され、実験結果が裏付けられました。

さらに、シミュレーションでは、反発を「スイッチ」で切り替えることができるため、その効果をさらに実証することができました。

国際的な科学チームは、実験と理論の手法を組み合わせることで、水分子の挙動を解明することができました。

これにより、表面での氷形成の最初のステップがどのように進行するかを初めて正確に捉え、これまで知られていなかった物理的なメカニズムを提案することができました。

研究グループはさらに、今回新たに観測された効果は、他の表面でも広く発生する可能性があることを示唆しています。

Tamtögl氏は説明します。

「今回の発見は、氷の形成を制御したり、氷結を防いだりするための新たな戦略への道を開くものです。」

例えば、風力発電、航空、通信などの分野に特化した表面処理が考えられるそうです。

氷が形成される際の微視的なプロセスを理解することは、個々の結晶から氷河や氷床に至るまで、氷の形成と融解を予測するためにも不可欠です。

後者は、気候変動や地球温暖化に関連した環境変化を定量的に把握するためにも重要です。

この研究分野は、グラーツ工科大学の5つの研究分野の1つである専門分野「先端材料科学」に属しています。

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