遺伝子以外にも受け継いでいるもの

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遺伝子以外にも受け継いでいるもの

私たちは両親から、遺伝子以外にも受け継いでいる可能性があります。

A fundamental discovery about a driver of healthy development in embryos could rewrite our understanding of what can be inherited from our parents and how their life experiences may shape us.

参照元:https://www.wehi.edu.au/news/not-all-genes-are-we-inheriting-more-we-think
– ウォルター・アンド・イライザ・ホール研究所 Walter and Eliza Hall Institute. 12 August 2022 –

胚の健全な発育を促す要因に関する基本的な発見が、両親から何が受け継がれ、その人生経験がどのように私たちを形成するかについての理解を塗り替える可能性があります。

この新しい研究は、DNAの上に位置し、通常は世代間でリセットされるエピジェネティック情報が、これまで考えられていたよりも頻繁に母から子へと受け継がれることを示唆しています。

WEHI(オーストラリア、メルボルン)の研究者が率いるこの研究により、どの遺伝子が母から子へエピジェネティック情報を受け継ぐのか、またどのタンパク質がこの異常なプロセスを制御するのに重要なのかを、大きく理解することができました。

エピジェネティクスは、遺伝子のスイッチがどのようにオン・オフされ、1つの遺伝子の指令が体内で何百もの異なる種類の細胞を作り出すのかを調べる、急速に発展している科学分野です。

エピジェネティックな変化は、食生活などの環境の変化に影響されることがありますが、このような変化はDNAを変化させないので、通常は親から子へ受け継がれることはありません。

ごく一部の「刷り込み」遺伝子は世代を超えてエピジェネティックな情報を伝えることができますが、これまでは、母親のエピジェネティックな状態に影響される他の遺伝子はほとんど示されてきませんでした。

今回の研究により、母親の卵に含まれる特定のタンパク質の供給が、子孫の骨格形成に影響を与えることが明らかになりました。

研究代表者のマーニー・ブルーウィット教授は、この発見には当初驚かされたと述べています。

WEHIのエピジェネティクス・発生部門の共同責任者であるBlewitt教授は話します。

Blewitt教授:今回の発見は予想外だったので、処理に時間がかかりました」と述べています。母親からのエピジェネティックな情報が、身体の形成に生涯にわたって影響を及ぼす可能性があることを知ったとき、私たちがこれまで考えていたよりもはるかに多くのことが起こっていることを示唆しているようで、とてもわくわくしました。他のエピジェネティック情報がどのように受け継がれるのか、パンドラの箱を開けるような思いがします。

この研究は、モナシュ大学およびオーストラリア再生医学研究所のエドウィナ・マッグリン准教授との共同研究として、WEHIが主導し、Nature Communications誌に掲載されたものです。

今回の研究では、2008年にBlewitt教授が発見したエピジェネティック制御因子であるSMCHD1というタンパク質と、正常な骨格の形成に重要なHox遺伝子に着目しました。

Hox遺伝子は、哺乳類の胚発生時に各椎骨のアイデンティティを制御していますが、エピジェネティック制御因子は、これらの遺伝子が早期に活性化することを防いでいます。

今回、研究チームは、母親の卵に含まれるSMCHD1の量がHox遺伝子の活性に影響を与え、胚のパターニングに影響を与えることを発見しました。

母体のSMCHD1が卵に含まれていないと、生まれてくる子どもは骨格の構造が変化していました。

筆頭著者で博士課程研究員のナタリア・ベネッティは、これは、単なる設計図の遺伝情報ではなく、エピジェネティックな情報が母親から受け継がれたことを示す明確な証拠であると述べています。

ベネッティ氏:私達のゲノムには2万を超える遺伝子がありますが、ある世代から別の世代へとエピジェネティックな情報を伝えることが示されているのは、約150のインプリント遺伝子とその他ごく少数の稀なサブセットだけです。この現象が、ハエからヒトまで進化的に保存されてきた必須遺伝子群にも起こっていることを知ることは、非常に興味深いことです。

研究によって、受胎後2日間しか存続しない卵子内のSMCHD1が、生涯にわたって影響を与えることが明らかになりました。

SMCHD1の変異は、発達障害のボスマ・アルヒニア小眼球症候群(BAMS)や筋ジストロフィーの一種である顔面肩甲上腕筋ジストロフィー(FSHD)に関連しています。

研究者らは、今回の発見が、SMCHD1変異体を持つ女性やその子どもたちに将来的に影響を与える可能性があるとしています。

WEHIでは現在、研究チームが確立したSMCHD1に関する知識を活用して、プラダー・ウィリー症候群や変性疾患FSHDなどの発達障害を治療するための新しい治療法を考案する創薬活動を展開しています。

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