「受容体の大きさよりも密度が大事」がんと闘うTNF受容体の活性化の鍵

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「受容体の大きさよりも密度が大事」がんと闘うTNF受容体の活性化の鍵

がん細胞と闘う上で重要な役割を果たすTNF受容体の活性化には、受容体そもそもの大きさよりも密度が重要であることがわかりました。

Rather, the study finds that agonists that induced smaller clusters — but with higher receptor density — mediated better TNF receptor activity than those which induced larger clusters.

参照元:https://www.southampton.ac.uk/news/2021/06/clustering-immune-receptors.page
– サザンプトン大学 University of Southampton. 25 June 2021 –

サウサンプトン大学の抗体・ワクチングループの研究者らは、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)と呼ばれる重要な免疫受容体がどのようにして活性化されるかについて、新たな知見を得ました。

この研究は、Communications Biology誌に掲載され、免疫細胞上に存在するTNFRと呼ばれる一群の受容体について調査したものです。

CD40、4-1BB、OX40などのこれらの受容体は、免疫システムが病原体やがん細胞と闘う上で重要な役割を果たしています。

そのため、これらの受容体を特異的に標的とし、活性化するように設計された抗体医薬(アゴニストと呼ばれる)が、がん治療のために開発されています。

これらの受容体が細胞表面で活性化されるメカニズムは、最適な薬剤フォーマットを設計する上で重要ですが、現在のところ完全には解明されていません。

これまでの研究で、TNF受容体の活性化には、細胞表面に分散している受容体を局所的なクラスターに再分配する受容体クラスター化が必須であることが示されており、一般的には、クラスターが大きいほどより強力な活性化が起こると考えられています。

今回の研究では、がん免疫学センターのBen Yu博士とMark Cragg教授が中心となり、大学やONI UKの研究者とともに、サウサンプトンで開発されたCD40、4-1BB、OX40を標的とした独自の試薬と、Mark Benevolent Fundからの資金提供を受けた新しい超解像顕微鏡を用いて、受容体のクラスター化の違いがどのように受容体の活性化を媒介するかを調べました。

本研究の結果、TNF受容体の活性化には受容体のクラスター化が絶対に必要であることが確認されましたが、興味深いことに、一般的に考えられている「クラスターが大きいほど受容体の活性化が進む」という説は否定されました。

むしろ、クラスターが小さくても受容体密度が高いアゴニストの方が、クラスターが大きいアゴニストよりも優れたTNF受容体活性を媒介することがわかりました。

さらに、CD40を標的とした最も強力な抗体アゴニストの1つが、新しい棒状のクラスター構造を誘導することも明らかになりました。

このことは、この抗体の超拮抗性を説明する可能性があります。

これらの知見は、TNF受容体がどのようにクラスター化して免疫活性化を媒介するのかについての重要な知見であり、今後のTNF受容体を標的とした治療用抗体の開発の指針となるものです。

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