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住宅優遇政策実施地域の住民は「高血圧/高コレステロール患者が少ない」

低・中所得層向け住宅を建設する際、開発者に税制優遇などのインセンティブを与えるプログラムをインクルージョン・ゾーニングと呼びます。この政策を実施している地域の住民は、高血圧や高コレステロール患者が少ない事がわかりました。

Inclusionary zoning policies that increase the supply of affordable housing may be good for the heart.

参照元：https://mediarelations.gwu.edu/zoning-policies-boost-affordable-housing-good-heart
– ジョージ・ワシントン大学 George Washington University. September 08, 2021 –

手頃な価格の住宅の供給を増加させるインクルージョンゾーニング政策は、心臓に良いかもしれません。

ジョージ・ワシントン大学の研究者らが発表した初めての研究では、このように述べられています。

この研究では、そのようなゾーニングプログラムが、心臓病の発生率の低下と関連していることを指摘しています。

本研究の筆頭著者であり、ジョージ・ワシントン大学社会学准教授のAntwan Jones氏は話します。

「全米の多くの都市が、手頃な価格の住宅の深刻な不足に直面しています。今回の研究では、インクルージョンゾーニングプログラムが、安全で手ごろな価格の住宅の供給を促進するだけでなく、心臓病のリスクを低減する可能性があることを示唆しています。」

ジョーンズ氏らは、「500 Cities Project」のデータに加え、土地区画整理や人口統計情報を用いて、いわゆるインクルージョン・ゾーニング政策と冠動脈性心臓病との間に自治体レベルでの関連性があるかどうかを調べました。

米国では、25州の880以上の市や郡が、インクルージョン・ゾーニング政策を採用しています。

インクルージョン・ゾーニング政策とは、低・中所得層向けの住宅を建設する際に、開発者にインセンティブ（税制優遇、規制の免除、その他の資金援助など）を与えるプログラムのことです。

この研究では、インクルージョン・ゾーニングを導入している地域では、導入していない地域に比べて、高血圧や高コレステロールの住民が少ないことがわかりました。

また、包括的土地利用制度を導入している都市では、血圧を下げる薬を服用している人が少なく、米国で毎年36万5千人以上が死亡している冠状動脈性心臓病をすでに発症している人も少ないことが分かりました。

今回の観察研究では、包括的区画整理政策が、心血管の健康指標の改善や心臓病の発症率の低下と関連していることが明らかになりました。

また、貧困、健康保険、喫煙率など、心臓病に関連する要因をコントロールした後も、関連性が持続していることが分かりました。

今回の論文の共著者であり、GW大学の社会学・公共政策学の教授であるGregory Squires氏は話します。

「健全な地域社会に安定した手頃な価格の住宅があれば、ストレスが軽減され、新鮮な野菜や公園、仕事、安全な道路など、人々の健康維持に役立つ施設へのアクセスが向上します。」

また、開発者に賃貸住宅を優先的に提供したり、手頃な価格の住宅の割合を増やしたりすることを義務付けるインクルージョン・ゾーニング・プログラムが、心臓の健康指標に最も大きな影響を与えたそうです。

包括的土地利用計画と心臓血管系の健康との関連性については、さらに研究を進める必要があると著者らは述べています。

しかし、GWの研究者らは、今回の研究は、包括的区画整理プログラムが、米国の都市で苦境にある家族が直面している複雑な健康問題に対処できることを示唆しているとも話しています。

この研究「Ecological Associations between Inclusionary Zoning Policies and Cardiovascular Disease: Risk Prevalence: An Observational Study」は、専門誌「Circulation」に2021年9月8日に掲載されました。

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