長さと幅はあるが厚さは1~2個の原子しかない科学上の2次元材料「ボロフェン」

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長さと幅はあるが厚さは1~2個の原子しかない科学上の2次元材料「ボロフェン」

アルゴンヌ国立研究所の研究チームは、、ホウ素と水素の原子を含む安定した二次元材料ナノシートを作成しました。
二次元材料は、電子機器、太陽電池、バッテリー、医療機器などのデバイスの性能をかつてないほど向上させる可能性を秘めています。

While graphene is simply one atomic layer out of the many same layers in the common material graphite, borophene has no equivalent parent structure and is very difficult to prepare. What’s more, the rapid reaction of borophene with air means it is very unstable and changes form readily.

参照元:https://www.anl.gov/article/less-than-a-nanometer-thick-stronger-and-more-versatile-than-steel
– アルゴンヌ国立研究所 Argonne National Laboratory. APRIL 5, 2021 –

薄いよりも薄いものは何か?

その答えの1つが2次元材料です。

長さと幅はあるが、厚さは1~2個の原子しかない科学上のエキゾチックな材料です。

二次元材料は、電子機器、太陽電池、バッテリー、医療機器などのデバイスの性能をかつてないほど向上させる可能性を秘めています。

米国エネルギー省(DOE)アルゴンヌ国立研究所の研究者たちは、ノースウェスタン大学およびフロリダ大学と共同で、ホウ素と水素からなる厚さわずか2原子のシートである「ボロファン」と呼ばれる2次元材料に関する画期的な研究成果を『Science』誌に発表しました。

ここ数十年の材料科学における最もエキサイティングな開発の1つは、2次元の炭素シート(グラフェン)で、その厚さは原子1個分、強度は鋼鉄の200倍にもなります。

同様に有望な新素材は、原子1個分の厚さを持つホウ素のシートで、”e “のつくボロフェンと呼ばれています。

アルゴンヌのナノスケール材料センター(DOE Office of Scienceのユーザー施設)の研究者を含む複数の機関のチームが、2015年に初めてボロフェンを合成しました。

グラフェンは、一般的な材料であるグラファイトの多数の同じ層のうちの1つの原子層に過ぎませんが、ボロフェンには同等の親構造がなく、調製が非常に困難です。

さらに、ボロフェンは空気との反応が速いため、非常に不安定で、すぐに形が変わってしまうのです。

ノースウェスタン大学のマーク・ハーサム教授(材料科学・工学)は話します。

「ボロフェン単体にはさまざまな問題があります。しかし、ボロフェンに水素を混ぜると、突然、安定性が格段に向上し、急成長中のナノエレクトロニクスや量子情報技術の分野で利用できる魅力的な製品になるのです。」

研究チームは、銀の基板上にボロフェンを成長させ、それを水素に曝してボロフェンを形成しました。

その後、走査型トンネル顕微鏡と、構造の理論的なシミュレーションと実験的な測定値を比較するコンピュータービジョンに基づくアルゴリズムを組み合わせて、ボロファンの複雑な構造を解明しました。

コンピュータビジョンは、高性能コンピュータに視覚世界の解釈と理解を訓練する人工知能の一分野です。

ボロファンは、原子2個分の厚さしかないのに、ホウ素原子と水素原子の配置が多数存在するため、構造が非常に複雑です。

アルゴンヌのナノスケール材料センターのナノサイエンティストであるマリア・チャン氏は話します。

「私たちは、コンピュータビジョンの助けを借りて、走査型トンネル顕微鏡の画像から原子構造を決定し、原子スケールでの計算モデリングを行うという重要な課題に取り組みました。」

この複雑な構造の解明に成功したことから、研究チームの自動分析技術は、将来的に他の複雑なナノ構造の同定にも応用できるはずです。

アルゴンヌのナノスケール材料センターのナノサイエンティスト、ピエール・ダランセ氏は話します。

「今回の結果で非常に勇気づけられたのは、銀基板上のボロファンナノシートが、ボロフェンとは異なり、非常に安定していることです。これは、光と電子を組み合わせたデバイスであるオプトエレクトロニクスの新しいデバイスを構築する際に、他の材料と容易に統合できることを意味しています。」

このような光制御・発光デバイスは、通信や医療機器などに組み込まれる可能性があります。

チャン氏は話します。

「今回の発見は、ナノエレクトロニクス用の2次元材料としてのボロファンの驚くべき可能性を実現するための重要なステップです。」

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