有休育児休暇の導入が普及しない残念な理由

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有休育児休暇の導入が普及しない残念な理由

有休育児休暇は世界各国で支持されています。
しかし、法を整備する側は既にその恩恵にあずかっている事が多く、法整備にあまり前向きではないかもしれません。

“These are the people who already largely have access to paid leave through their employers. They would not directly benefit from it, because they already have it,” Petts said.

参照元:https://news.osu.edu/people-across-the-world-favor-paid-parental-leave-study-finds/
– オハイオ州立大学 Ohio State University. Jun 25, 2021 –

米国は、裕福な国の中で唯一、出産後の母親または父親の有給休暇を保証していませんが、米国人は他の国の人々とほぼ同じように、両親に有給休暇を与えることを支持しています。

アメリカ人の約82%が有給出産休暇を支持しており、富裕国26カ国の86%をわずかに下回っていることが、今回の調査で明らかになりました。

アメリカ人が他の国と異なる点は、有給休暇に対する政府の資金援助をあまり支持していないこと、休暇期間が短いこと、父親の有給休暇をあまり支持していないことです。

本研究の共著者であり、オハイオ州立大学の社会学准教授であるChris Knoester氏は話します。

「アメリカ人が有給休暇をどのように取得したいかについては、他の国と比べて顕著な違いが見られます。」

Knoester氏は、ボール州立大学の社会学教授であるRichard Petts氏と、オハイオ州立大学の社会学博士課程に在籍するAmelia Li氏とともに研究を行いました。

この研究結果は、今週、International Journal of Comparative Sociologyに掲載されました。

研究者たちは、「国際社会調査プログラム2012」に参加した35,488人のデータを分析しました。

参加者は、米国を含む、OECD(経済協力開発機構)に加盟している富裕層26カ国の人々です。

Knoester氏は話します。

「今回の調査では、全体的に先進国全体で有給休暇への支持が高く、比較的長い有給休暇の期間や、休暇を取るための政府の資金援助も支持されていることがわかりました。」

世界全体では、約75%の人が有給出産休暇に対する政府の支援を望んでいました。

また、Social Science Research誌に掲載された以前の研究では、約半数の人が出産休暇に対する支援を望んでいることがわかりました。

アメリカでは、政府の資金援助への支持はかなり低く、産休には約半数、育休には3分の1しか支持されていませんでした。

また、政府の資金援助だけで休暇を取得したいと考えるアメリカ人はほとんどいないとKnoester氏は言います。

ほとんどの人は、政府と民間企業が費用を分担することを望んでいます。

Knoester氏は話します。

「多くの人が休暇を支持しているにもかかわらず、アメリカでより広く手厚い休暇が提供されていないのは、これが大きな理由かもしれません。連邦政府が休暇を提供しなければ、現在のように、州や雇用者がそれぞれ異なる休暇制度を提供するパッチワーク状態になってしまいます。」

また、今回の調査では、アメリカ人は他の国の人たちほど多くの有給休暇を望んでいませんでした。

米国では、親になったばかりの人に約4ヵ月の休暇を与えたいと考えています。

一方、世界各国では約13カ月の有給休暇が支持されています。

父親の有給休暇に対する支持は、米国でも他の調査対象国でも、出産休暇に比べて低い結果となりました。

全体では、調査対象者の約60%が有給の父親の休暇を望んでいるのに対し、米国では半数強にとどまりました。

米国が主要国の中で唯一、有給の出産休暇を取得していない理由として、政府の資金援助に対する支持が得られていないことが考えられますが、他にも理由があると研究者は述べています。

Sociological Focus誌に掲載予定の別の研究では、米国の保守的な政治的見解を持つ高齢の白人が、有給育児休暇を最も支持していないという結果が出ています。

Li氏は話します。

「これらの人々は、有給休暇に関する政策決定を行う、社会的にエリートな立場にある人々である傾向があります。それが、休暇政策の制定を難しくしています。」

Petts氏は、米国の政治的エリートが政府の支援する休暇を支持しないもう一つの理由を指摘します。

「これらの人々は、すでに雇用主を通じて有給休暇を取得している人たちです。彼らはすでに有給休暇を取得しているので、直接の恩恵を受けることはありません。持つ者と持たざる者の話です。」

今回の調査では、有給休暇の取得を支持する人に影響を与える他の要因も明らかになりました。

予想通り、一般的に女性は有給休暇を支持する傾向が強く、より長い休暇を望んでいました。

また、男性は仕事に専念し、女性は家庭に専念するという伝統的な男女の役割を強く支持する人は、より平等な男女の役割を主張する人に比べて、有給休暇への支持率が低かったのです。

Knoester氏は話します。

「これに関連して、夫婦の両方が働くことを支持する人は、有給休暇への支持が高く、特に米国では父親の有給休暇への支持にその傾向が見られます。」

さらに、家庭責任と仕事責任の間に矛盾を感じている人ほど、有給休暇を支持する傾向がありました。

今回の調査は10年前に行われたものですが、最近の調査では、人々の考えはあまり変わっていないと研究者は述べています。

特に米国では、有給休暇への支持がやや高まっているようです。

Knoester氏は話します。

「有給の出産休暇に対する支持率は依然として非常に高く、2012年以降、出産休暇に対する支持率が上昇していることも示唆されています。」

「さらに、政府による育児休暇の支援に賛成するアメリカ人が増えていることも示しています。9つの州とワシントンD.C.では、有給育児休暇制度を制定しています。昨年11月、コロラド州の有権者は、最長12週間の休暇を認める投票法案を可決しました。」

「コロラド州で制定されたような法案が米国で可決されるとは想像もしませんでした。これは、米国人が政府による支援に前向きになっていることを示しています。」

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