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世界が植物の重要性を軽視している
環境問題を解決するには植物研究は切り離せません。が、植物に関する教育機会や論文が減少しているようです。
People are becoming ‘disconnected from the botanical world’ at a time when plants could help solve global environmental problems, warn a group of research scientists.
参照元:https://www.leeds.ac.uk/main-index/news/article/5120/education-system-neglecting-the-importance-of-plants
– リーズ大学 University of Leeds. 11 July 2022 –
植物が地球環境問題の解決に役立つ可能性があるにもかかわらず、人々は「植物の世界から切り離されつつある」と、研究科学者のグループが警告しています。
この問題は、英国の学校や大学が、植物の同定や生態学などの基礎的な植物科学の教育を減らしていることによって悪化していると、研究グループは2022/11/07に学術誌『Ecology and Evolution』に発表した論文で述べている。
彼らは、自己加速サイクルの危険性について述べています。
生物学は主に動物科学に興味を持つ研究者によって教えられています。
著者の一人は、生物科学の修士課程に入学した大学院生が、基本的な植物の識別能力を欠いていると述べています。
高等教育統計局のデータを分析したところ、かつて多くの大学の生物学部の学位や学校のプログラムで必修科目であった植物学が、”. …現在、英国では事実上存在しない。”
2007年から2019年にかけて、他の生物科学分野の学生185人に対して、植物科学分野の学生はわずか1人しか卒業していません。
学校では、生物学のカリキュラムは、植物群落のエネルギーの流れ、植物の生殖、植物の解剖学に重点を置いており、生態学にはほとんど時間が割かれず、植物の識別能力を身につける時間もないのです。
リーズ大学生物学部のハッセル研究所の博士研究員で、この研究の主執筆者であるセブ・ストラウド氏は、次のように述べています。
ストラウド氏:植物学教育の衰退の結果、一般の人々や専門家の間で植物に対する意識が低下しています。
その結果、効果がないばかりか、環境問題を助長するような環境プロジェクトが見られるようになったのです。植物を適切に利用すれば、21世紀に迫り来る気候や生態系の危機に対して、植物が解決策を提供できることに疑いの余地はありません。
私たちは、植物界からもたらされる機会を、自らの危険と隣り合わせで無視することになります。
この論文 — 植物学教育の消滅と植物意識の低下 — では、植物学の基本的なスキルの不足が環境改善の妨げになっている例として、泥炭地に不適切な植樹を行い、この繊細な生息環境を損なうことでCO2排出量の増加につながることなどを挙げています。
また、不注意な植樹や管理によって、貴重なワイルドフラワーの草原が脅かされるという事件も起きています。
スコットランド政府は、自然を基盤とした解決策を実行するための熟練した人材の不足を強調し、「自然リテラシー」が農家、林家、漁師と同様に、プランナー、エンジニア、建築家、教育者など様々な専門家の中核となるスキルでなければならないと主張しています。
また、植物を正しく識別する能力の欠如が、侵略的な外来植物の蔓延という問題を悪化させる可能性があると主張しています。
例えば米国では、外来種としてリストアップされた種の3分の2近くが販売されたままになっているという調査結果があります。
研究者たちは、植物学教育の衰退を食い止めるために、世界中の植物学教育の評価と、環境・植物分野の科学者や専門家のスキルギャップの分析を呼びかけています。
また、高等教育機関や一般市民を対象に、植物に対する認識を高めるキャンペーンを実施し、植物に関する情報を提供し、人々の関心を高めることを呼びかけています。
研究チームは結論として、”植物学的世界との断絶の連鎖を断ち切らない限り、植物学教育の消滅は悪化の一途をたどるだろう “と指摘しています。


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