視覚視床ニューロンは両眼に接続「しかし片方の網膜とだけ強い機能的接続」

視覚視床において、神経細胞は両眼に接続されてますが、機能的には利き目の片眼にしか反応してないようです。

This analysis shows that indeed a multitude of neurons in the visual thalamus receive input from both retinas.

参照元：https://www.mpg.de/17055480/0618-psy-picky-neurons-155111-x
– マックス・プランク研究機構 Max-Planck-Gesellschaft. JUNE 18, 2021 –

視覚視床は、従来、網膜からの視覚刺激を大脳皮質に伝達することで知られていました。

今回、マックスプランク神経生物学研究所の研究者らは、マウスの視覚視床のニューロンは両眼に接続しているにもかかわらず、片方の網膜とだけ強い機能的接続を確立していることを明らかにしました。

この結果は、これまでの研究で一部矛盾していたものを解消し、構造的なデータを機能的な分析で補完することがいかに重要であるかを示しています。

私たちには2つの目がありますが、目の前の木を認識するのは1回だけです。

そのため、脳は両目の情報を意味のある形で組み合わせるという複雑な作業を行っています。

そのために、視覚刺激はまず網膜から神経節細胞を経由して視覚視床に到達します。

ここでは、視覚刺激を伝達する網膜神経節細胞の種類と眼の起源に応じて、情報が明確に定義された領域に到達します。

このように、右目と左目の信号は視覚視床で明確に分離され、独立して視覚野に伝達されます。

この脳領域でのみ、入力された情報が結合されるというのが、長年の定説でした。

しかし、最近の解剖学的研究によると、マウスの視覚視床の中には、両眼に接触している神経細胞が意外に多いことがわかってきました。

「左目」と「右目」の情報チャネルの分離は、マウスでは当てはまらないのでしょうか？

トビアス・ボンヘッファー教授の研究室では、この新たな疑問にさらに光を当てたいと考えました。

そこで、光遺伝学的手法を開発し、両眼の神経節細胞を異なる色の光で連続的に活性化させ、それに対応する視床細胞の電気的反応を測定しました。

その結果、視床にある多数のニューロンが、両方の網膜からの入力を受けていることがわかりました。

しかし、興味深いことに、両眼の信号強度が同じくらいの細胞はごくわずかしかありません。

ほとんどの細胞では、片方の目が優位で、入力強度がはるかに高かったのです。

利き目ではない方の目からの弱い信号は、実験では活動電位を引き起こさなかったため、視覚情報の処理には大きな役割を果たしていないようでした。

研究を主導したTobias Rose氏は話します。

「今回の結果により、これまでの研究で得られた矛盾した知見を説明することができます。視覚視床のニューロンは、両眼との接続を形成していますが、機能的には単眼、いわば片眼なのです。つまり、片方の目の信号強度だけが、細胞が反応するのに十分な強度を持っているということです。」

入力の選択

網膜細胞と視床細胞の空間的な配置と、その結果としての接続の可能性だけでは、機能的な単眼性を説明できません。

それどころか、科学者たちは、両目へのアクセスが同じであっても、視床細胞は片目とだけ機能的な接続を確立することを示しました。

したがって、入力源の選択が明確に行われているのです。

さらに、利き目との接触部位は強化され、非利き目の接触部位は未熟なままであるようでした。

今後は、利き目がどのようにして決まるのか、また、このメカニズムが異なる種類の網膜神経節細胞にも当てはまるのかどうかを明らかにすることを目指しています。

もう1つの興味深い研究テーマは、未熟なコンタクトサイトです。

一見、明らかな機能を持たない未熟な接触部位は、必要に応じて活性化され、例えば、視覚障害の一種である弱視などの役割を果たしているのではないかという疑問が生じます。

今回の研究では、マウスの視覚視床が、おそらく人間と同様に、視覚情報を別々のチャネルで伝達していることが証明されました。

また、解剖学的データの解釈には注意が必要であることも明らかになった。ニューロン同士が接触しているからといって、広範囲にコミュニケーションをとっているわけではないのです。