「タイピングやビデオ学習より有意に特定のスキルを学べる」手書き

手書きの文字は、タイピングやビデオで同じ内容を学ぶのに比べて、驚くほど速く、また有意に良い方法で特定のスキルを学ぶことができます。

“The question out there for parents and educators is why should our kids spend any time doing handwriting,” says senior author Brenda Rapp, a Johns Hopkins University professor of cognitive science.

参照元：https://hub.jhu.edu/2021/07/07/handwriting-more-effectively-teaches-reading-skills-brenda-rapp/
– ジョンズ・ホプキンス大学 Johns Hopkins University. 2021 07 07 –

手書きの文字は、コンピュータの手軽さに押されてますます失われつつありますが、新しい研究によると、鉛筆や紙をすぐに捨ててしまうべきではありません。

手書きの文字は、タイピングやビデオで同じ内容を学ぶのに比べて、驚くほど速く、また有意に良い方法で特定のスキルを学ぶことができます。

ジョンズ・ホプキンス大学の認知科学教授であるBrenda Rapp氏は話します。

「親や教育者にとっての疑問は、なぜ子供が手書きをする時間を確保しなければならないのかということです。手書きの練習をすれば、字が上手になるのは明らかです。しかし、手書きする人が減っているのだから、誰も気にしないのでは？本当の問題は、手書きの文字を読むことや綴ること、理解することに関係する他の利点があるかということです。私たちは、間違いなくあることを発見しました。」

この研究成果は、Psychological Science誌に掲載されました。

Rapp氏と筆頭著者のRobert Wiley氏は、元ジョンズ・ホプキンス大学の博士課程の学生で、現在はノースカロライナ大学グリーンズボロ校の教授です。

実験では、42人の人にアラビア語のアルファベットを教え、書く人、打つ人、ビデオを見る人の3つのグループに分けました。

「書き手」「打ち手」「ビデオ見手」の3つのグループに分かれて、アルファベットの名前や音を聞きながら、文字を書いているビデオを見て、1つずつ文字を覚えていきました。

それぞれの文字が紹介された後、3つのグループは見聞きしたことを異なる方法で学ぼうとしました。

ビデオグループは、画面上に文字のフラッシュが表示され、それが今見たばかりの文字と同じかどうかを言わなければなりません。

タイパーは、キーボードでその文字を見つけなければなりませんでした。

書く人は、ペンと紙でその文字を書き写さなければなりませんでした。

最終的には、6回ものセッションを経て、全員が文字を認識できるようになり、テストでのミスも少なくなりました。

しかし、「書く」グループは、他のグループよりも早く、わずか2回のセッションでこのレベルに到達した者もいました。

次に研究者は、この新しい知識をどの程度まで一般化できるかを調べました。

つまり、全員が文字を認識することはできても、それを使って文字を書いたり、新しい単語のスペルを書いたり、知らない単語を読んだりして、本当にプロのように使うことができるかどうかということです。

書くグループは、これらすべての点で決定的に優れていました。

ワイリー氏は話します。

「主な教訓は、文字を認識するのが得意な生徒ばかりだったにもかかわらず、他のすべての指標において、書く訓練が最も優れていたということです。そして、そのために必要な時間も短かったのです。」

書くグループは、大人レベルのリーディングやスペリングの専門家に必要なスキルをより多く身につけていました。

ワイリーとラップは、それは手書きによって視覚と聴覚の学習が強化されるからだと言います。

この利点は、ペン習字とは関係ありません。

手で書くという単純な行為が、文字に関する学習内容（文字の形、音、運動計画）を統合する知覚運動体験をもたらし、その結果、より豊かな知識と充実した真の学習が可能になるのだと、研究チームは言います。

ワイリー氏は話します。

「書くことで、頭の中でより強い表現を得ることができ、それによって、手書きを伴わない他の種類の課題に向けての足場を作ることができるのです。」

今回の研究に参加したのは大人でしたが、Wiley氏とRapp氏は、子どもでも同じ結果が得られると予想しています。

この研究結果は、近年、鉛筆やノートがタブレットやラップトップに取って代わられ、筆記体を教えることがほとんどなくなってしまった教室にも影響を与えます。

また、アルファベットの異なる言語を学ぼうとしている大人は、アプリやテープで学んだことを、昔ながらの紙媒体で補うべきだと考えています。

ワイリー氏は、子供たちに筆記用具を買い与えるようにしています。

ワイリー氏は話します。

「今、私には3人の姪と1人の甥がいるのですが、兄弟たちからクレヨンやペンを買ってあげようかと聞かれます。私は「そうだね、文字で遊んでいればいいんだから、どんどん書いていいよ」と答えます。クリスマスにはみんなにフィンガーペイントを買ってあげて、文字を書いてみようと言ったんですよ。」