
新着記事
ミイラが復元済かどうかを非破壊的に見極める技術
アメリカ化学会は、ミイラに使用されている防腐剤の成分を分析する事により、非破壊的に調査できる方法を発見しました。
通常遺物の調査には部分または全部の破壊が伴うのですが、これにより一部の調査が非破壊的に行われる事が期待されます。
Ancient Egyptian mummies have many tales to tell, but unlocking their secrets without destroying delicate remains is challenging. Now, researchers reporting in ACS’ Analytical Chemistry have found a non-destructive way to analyze bitumen –– the compound that gives mummies their dark color –– in Ancient Egyptian embalming materials. The method provides clues to the bitumen’s geographic origin and, in one experiment, revealed that a mummy in a French museum could have been partially restored, likely by collectors.
参照元:https://www.acs.org/content/acs/en/pressroom/presspacs/2020/acs-presspac-december-16-2020/a-non-destructive-method-for-analyzing-ancient-egyptian-embalming-materials.html
– アメリカ化学会 American Chemical Society. December 16, 2020 –
古代エジプトのミイラには多くの物語がありますが、繊細な遺物を破壊せずに秘密を解き明かすことは困難です。
現在、ACSの分析化学で報告している研究者は、古代エジプトの防腐剤に含まれるビチューメン(ミイラに暗い色を与える化合物)を分析する非破壊的な方法を発見しました。
この方法は、ビチューメンの地理的起源の手がかりを提供し、ある実験では、フランスの美術館のミイラが、おそらくコレクターによって部分的に復元された可能性があることを明らかにしました。
古代エジプト人が使用した防腐剤は、砂糖ガム、蜜蝋、脂肪、針葉樹樹脂、さまざまな量のビチューメンなどの天然化合物の複雑な混合物でした。
アスファルトまたはタールとしても知られるビチューメンは、主に化石化した藻類や植物から発生する、黒色で高粘度の石油です。
研究者は古代エジプトの防腐処理材料を分析するためにさまざまな技術を使用しましたが、それらは通常、サンプルを破壊する準備と分離のステップを必要とします。
Charles Dutoit氏、Didier Gourier氏らは、電子常磁性共鳴(EPR)と呼ばれる非破壊的手法を使用して、光合成生命の分解中に形成されるビチューメンの2つの成分であるバナジルポルフィリンと炭素質ラジカルを検出できるかどうか疑問に思いました。
研究者たちは、古代エジプトの石棺(または棺)、2匹の人間のミイラと4匹の動物のミイラ(すべて紀元前744-30年)から暗黒物質のサンプルを入手し、EPRで分析し、参照ビチューメンサンプルと比較しました。
チームは、バナジル化合物と炭素質ラジカルの相対量が、海洋起源(死海など)のビチューメンと陸上植物起源(タールピットから)を区別できることを発見しました。
また、彼らは、バナジルポルフィリンと他の防腐剤成分との間の反応から形成された可能性が高いバナジル化合物を検出しました。
興味深いことに、1837年にフランスの美術館で入手された人間のミイラから採取された暗黒物質には、これらの化合物は含まれていませんでした。
また、ビチューメンが非常に豊富でした。
このミイラは、純粋なビチューメンで部分的に修復された可能性があります。


この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!
関連記事
-
「食料不測の危機ではない?」農耕の起源2021.08.03
-
「硬い木の実を食べるためではない?」人類近縁化石パラントロプスの奥歯2021.07.26
-
気候変動をいかに生き残るかに着目した考古学2021.07.24
-
芸術的な認知能力を持っていた「ネアンデルタール人の遺跡から装飾」2021.07.09
-
ディープラーニングで解析「現代人がネアンデルタール人から受継いだ遺伝子」2021.06.20
-
考古学の調査の幅が大きく広がる「石器の年代を正確かつ直接測定する方法」2021.06.09
-
大量絶滅時代の堆積物を調査「泥炭地の生態系の意外な繫栄状況」などが発覚2021.05.25
-
環境変化の影響の測定は「マクロではなくミクロ的に調査する事」も重要2021.04.24
新着記事
-
差異なく社会に適応している「異性の両親と同性の両親を持つ子どもたち」2022.05.24社会
-
数週間で心血管疾患リスクを低下「食事摂取を8時間に制限するモデル」2022.05.23健康
-
男子生徒の学校へのモチベーション「スポーツと密接な関係にある」2022.05.22学習
-
マッチングサービスに経済学「生徒と学校のマッチングを改善するモデル」2022.05.21社会
-
時間はかかるが習得率が高い「習得における変動性の役割」2022.05.20学習
-
やりすぎ注意「過度のスポーツトレーニングは気分に悪影響を与える」2022.05.19人体・脳
-
食料や土地の変革によって可能性が見えてくる「 世界の食料システムを排出量ゼロ 」2022.05.18社会
-
ポジティブな感情を強化、ネガティブな感情を保存「睡眠が感情を処理する仕組み」2022.05.17健康
-
人間に新しいことを学ぶ柔軟性と集中力を与える「しまった!という感覚」2022.05.16人体・脳
-
活用方法には注意が必要「ソーシャルメディアの付き合い方とメンタルヘルス」2022.05.15健康
よく読まれている記事
N E W S & P O P U L A R最 新 記 事 & 人 気 記 事
WHAT'S NEW !!
-
差異なく社会に適応している「異性の両親と同性の両親を持つ子どもたち」
【差異なく社会に適応している「異性の両親と同性の両親を持つ子どもたち」】 同性の両親、異性の両親、それぞれの親を持つ子供は差異なく社会に適応している事が示され... -
数週間で心血管疾患リスクを低下「食事摂取を8時間に制限するモデル」
【数週間で心血管疾患リスクを低下「食事摂取を8時間に制限するモデル」】 平日の食事摂取を8時間に制限した所、数週間後に心血管疾患リスクが低下するようです。 Usi... -
男子生徒の学校へのモチベーション「スポーツと密接な関係にある」
【男子生徒の学校へのモチベーション「スポーツと密接な関係にある」】 男子生徒は女子学生より学校への関心が低いようです。 Male students tend to be less intereste... -
マッチングサービスに経済学「生徒と学校のマッチングを改善するモデル」
【マッチングサービスに経済学「生徒と学校のマッチングを改善するモデル」】 多くの学生は居住所そばの小中学校に通いますが、自由に選択できるとしたら混乱になるでし...
-
なぜタイピングより手書きの方が、記憶に定着するのか
【なぜタイピングより手書きの方が、記憶に定着するのか】 ノルウェー科学技術大学の研究によると、手書きの方が物事をよく覚えることが判明しました。 様々なコンピュ... -
「世界最長寿記録を更新し132歳まで生きる人が出現する」ベイズ統計学予測
【「世界最長寿記録を更新し132歳まで生きる人が出現する」ベイズ統計学予測】 ベイズ統計学を用いると、最長寿記録122歳という世界記録はほぼ確実に破られ、125歳から1... -
記憶が脳に保存される新しい理論「MeshCODE理論」が開発される
ケント大学の研究チームは、記憶が脳に保存される新しい理論、MeshCODE理論を発表しました。この理論は、アルツハイマー病などの脳疾患の治療に役立つ可能性があります...
News
- 新着記事 -
Popular
- 人気記事 -
H A P P I N E S S幸 福
人気 (❁´ω`❁)
M E A L食 事
B R A I N脳
人気 (❁´ω`❁)
H E A L T H健 康
人気 (❁´ω`❁)
-
健康
高強度インターバルトレーニングは、適度な運動よりも心臓を強化する
【心臓を強化する高強度インターバルトレーニング】 ノルウェー科学技術大学の研究によると、トレーニングの強度が、病気の重症度を軽減し、心臓機能を改善し、作業能力... -
人体・脳
健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」
【健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」】 ボリビア・アマゾンの先住民族であるツィマネ族が、アメリカやヨーロッパの人々に比べて... -
人体・脳
寒冷散歩が脂肪燃焼を増幅させる理由
【寒冷散歩が脂肪燃焼を増幅させる理由】 ウィーン医科大学の研究チームが、寒冷化においてヒトとマウスのビタミンAのレベルが上昇する事を発見しました。 ビタミンAは...
-
健康
高強度インターバルトレーニングは、適度な運動よりも心臓を強化する
【心臓を強化する高強度インターバルトレーニング】 ノルウェー科学技術大学の研究によると、トレーニングの強度が、病気の重症度を軽減し、心臓機能を改善し、作業能力... -
人体・脳
健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」
【健康な脳を保ち老化を遅らせる「アマゾンの先住民族ツィマネ族の生活習慣」】 ボリビア・アマゾンの先住民族であるツィマネ族が、アメリカやヨーロッパの人々に比べて... -
人体・脳
寒冷散歩が脂肪燃焼を増幅させる理由
【寒冷散歩が脂肪燃焼を増幅させる理由】 ウィーン医科大学の研究チームが、寒冷化においてヒトとマウスのビタミンAのレベルが上昇する事を発見しました。 ビタミンAは...