統計からみる大規模パンデミックに遭遇する可能性

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統計からみる大規模パンデミックに遭遇する可能性

COVID-19によるパンデミックが世界中を席巻しています。研究者は過去100年の中でも最も致命的なパンデミックである可能性があると述べています。また、ほとんどの人が、此度のようなパンデミックを経験するとも述べています。

The COVID-19 pandemic may be the deadliest viral outbreak the world has seen in more than a century.

参照元:https://globalhealth.duke.edu/news/statistics-say-large-pandemics-are-more-likely-we-thought
– デューク大学 Duke University. August 23, 2021 –

統計によると、大規模なパンデミックの可能性は思ったよりも高い
ほとんどの人がCOVID-19のような極端なパンデミックを一生のうちに経験する可能性が高い

COVID-19によるパンデミックは、過去100年以上の間に世界で発生したウイルスの中で、最も致命的なものかもしれません。

しかし、統計的には、このような極端な出来事は、私たちが考えているほど稀ではないと、過去400年間の新しい病気の発生を分析した新しい研究が主張しています。

2021年8月23日付の米国科学アカデミー紀要に掲載されたこの研究では、新たに作成した過去の流行の記録を用いて、それらのイベントの強度と、それが再発する年間の確率を推定しました。

その結果、COVID-19と同様の影響を及ぼすパンデミックが発生する確率は、どの年でも約2%であることがわかりました。

つまり、2000年に生まれた人が今までにパンデミックを経験する確率は約38%ということになります。

この確率は上昇する一方であり、著者らは、パンデミックのリスクに対する認識と備えに対する期待を調整する必要があることを強調しています。

デューク大学の地球環境衛生学准教授で論文の共同執筆者の一人であるウィリアム・パン博士は話します。

「最も重要なことは、COVID-19やスペイン風邪のような大規模なパンデミックは比較的起こりうるということです。パンデミックがそれほど稀なものではないことを理解することで、将来的にパンデミックを予防・抑制するための取り組みの優先度を高めることができるはずです。」

イタリア・パドヴァ大学のMarco Marani博士を中心とした本研究では、新しい統計学的手法を用いて、過去4世紀の間に発生した、即座に医療介入が行われなかった疾病の規模と頻度を測定しました。

ペスト、天然痘、コレラ、チフス、新型インフルエンザウイルスなどの病原体を分析した結果、過去のパンデミックの発生率にはかなりのばらつきがあることがわかりました。

しかし、同じような規模のイベントが再び起こる確率を説明するためのパターンも発見されました。

1918年から1920年にかけて3,000万人以上の死者を出したスペイン風邪という現代史上最大のパンデミックの場合、同様の規模のパンデミックが発生する確率は、調査期間中、1年あたり0.3%から1.9%の範囲でした。

つまり、今後400年以内に、このような大規模なパンデミックが発生する可能性が統計的に高いということです。

しかし、このデータは、大規模な流行のリスクが急速に高まっていることも示しています。

SARS-CoV-2などの新種の病原体が過去50年間に人間集団の中で発生した割合が増加していることに基づいて、この研究では、新種の病気が発生する確率は今後数十年の間に3倍に増加する可能性が高いと推定しています。

研究者らは、このリスクファクターの増加を利用して、COVID-19と同規模のパンデミックが59年以内に発生する可能性があると推定しており、この結果は「直感的に予想されるよりもはるかに低い」と記しています。

PNAS誌の論文には掲載されていませんが、研究者たちは、人類を絶滅させるほどのパンデミックが起こる確率も計算し、今後1万2,000年以内に統計的に起こり得るとしています。

だからといって、COVIDのようなパンデミックが起きても59年間は大丈夫だとは言えませんし、スペイン風邪のような大災害が起きてもあと300年は大丈夫だとも言えません。

デューク大学のTheodore S. Coile Distinguished Professor of Hydrology and Micrometeorology(セオドア・S・コイル特別教授)であり、論文のもう一人の著者であるGabriel Katul(ガブリエル・カトゥル)博士は話します。

「このような出来事は、この期間中のどの年にも同じように起こり得ます。」

「今日、100年に一度の洪水が発生した場合、人は誤って、次の100年に一度の洪水が発生するまで待つ余裕があると考えるかもしれません。しかし、これは間違いです。次の年にも100年に一度の洪水が起こる可能性があるのです。」

環境衛生学者であるパンは、人口増加、食糧システムの変化、環境悪化、人間と病気を保有する動物との接触頻度の増加などが重要な要因ではないかと推測しています。

今回の統計解析は、あくまでもリスクの特徴を把握するためのものであり、何が原因で発生しているかを説明するものではないと強調しています。

しかし同時に、今回の研究が、壊滅的なパンデミックの可能性を高めている要因や、その対策について、より深く掘り下げるきっかけになることを期待しています。

パン博士は話します。

「また、なぜ大規模なパンデミックが頻発しているのかを解明するための研究アジェンダを設定することも重要です。」

本論文の筆頭著者であるマラニ氏は、デューク大学で非常勤講師を務めており、以前は土木・環境工学の教授でした。

もう一人の共著者であるMarquette大学のAnthony Parolari博士は、デューク大学の元ポスドク研究員です。

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