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引きこもりを早期発見「引きこもり質問票」
引きこもりは1998年に初めて定義さました。年数を重ねると改善が難しいとされる引きこもりに対し、早期発見を促せる質問票が開発されました。
Kyushu University researchers have developed a new ‘Hikikomori Questionnaire’ in an effort to detect the condition at an earlier stage
参照元:https://www.kyushu-u.ac.jp/en/researches/view/241
– 九州大学 Kyushu University. 2022.11.30 –
九州大学の研究者らは、ひきこもりの早期発見を目指し、新たな「ひきこもり質問票」を開発しました。
その結果、「孤立感」が非ヒキコモリとヒキコモリ予備軍を区別する要因になりうることが予備的に示され、早期発見・早期治療のためのツールとして新しい質問票を検証することが可能になりました。
ひきこもりは、6ヶ月以上にわたってほぼ毎日家に引きこもり、社会から孤立してしまう複合的な病態です。
日本特有の疾患と思われがちですが、アジア、ヨーロッパ、北米など世界各地で報告されています。
本研究の筆頭著者である九州大学大学院医学研究院の加藤隆広氏は話します。
加藤隆広氏:ひきこもりは、1998年に初めて定義されましたが、研究を進めるにつれ、身体的、社会的、心理的条件が重なり合った非常に複雑な病態であることがわかりました。特に、COVID-19の大流行以降、国際的に認知度が高まり、多くの研究者や医療関係者がひきこもりに関心を持つようになりました。ちょうど今年、DSM-5の改訂版で「ひきこもり」が認識されました。
加藤氏らは、2013年に世界初のひきこもり外来を開設するまでに、ひきこもり患者の評価・特定・治療のための施策に取り組んできました。
2018年には、半年後にひきこもり状態になっている人がひきこもりの症状を持っているかどうかを評価するための「ひきこもり問診票」(HQ-25)を開発しました。
加藤隆広氏:この質問票によって、ひきこもりの症状がある人を特定することができました。研究が進むにつれ、ひきこもりの早期発見や予防のために、症状のある人をより早い段階で評価できるツールが必要であることがわかりました。
日本大学、オレゴン健康科学大学と共同で開発した「ひきこもり調査票」(HQ-25M)は、「社会化」「孤立」「心のケア」の3つの要素を0~4で評価する25問で構成されています(4が「強くそう思う」)。
例えば、「他の人と一緒にいると落ち着かない」といった質問は社会性を測り、「重要な問題を話し合える人がほとんどいない」は感情的なサポートをカバーします。
Psychiatry and Clinical Neurosciences誌に掲載されたこの新しい質問票のパイロットテストは、762人の日本人を対象に行われました。
質問紙では、まず、前月のひきこもり状況を質問し、ひきこもり群、非ひきこもり群、ひきこもり予備群に分類しました。
さらに、同月の心理的苦痛を評価する質問紙を追加しました。
加藤隆広氏:データを分析し、各カテゴリーグループ間で比較可能な差異があるかどうかを調べました。複数のモデルを用いて分析した結果、ひきこもりグループは、ひきこもりでないグループやひきこもり以前のグループと比較して、すべての指標で有意に高いスコアを示したのです。
興味深いことに、ヒキコモリ派と非ヒキコモリ派の間では、測定された3つのサブファクターのうち、アイソレーションサブファクターだけがスコアに有意な差を示しました。
まだ予備的なものではありますが、研究チームはこの最初の発見に満足しており、質問票やデータ収集の改善に役立てたいと考えています。
加藤隆広氏:今回の初期結果は有望であり、我々の質問票がひきこもりの早期発見のための良いツールになる可能性を示しています。とはいえ、サンプル数の拡大や多様化、質問項目の微調整に取り組まなければなりません。さらに、彦摩呂の病態は世界中で報告されているので、海外の研究者や患者さんとも協力していかなければなりません。


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