「抗菌剤の回避方法を獲得していく細菌に対抗する」銀ナノ粒子

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「抗菌剤の回避方法を獲得していく細菌に対抗する」銀ナノ粒子

抗菌剤の誤用や多様により、抗微生物剤耐性を持った細菌に対抗するため、研究者たちは細菌そのものの研究を続けています。

“In the beginning, bacteria could only survive at low concentrations of silver nanoparticles, but as the experiment continued, we found that they could survive at higher doses,” Stabryla noted.

参照元:https://news.engineering.pitt.edu/are-silver-nanoparticles-a-silver-bullet-against-microbes/
– ピッツバーグ大学 University of Pittsburgh. July 13, 2021 –

抗菌剤は、バクテリアやウイルスなどの微生物を殺したり、成長を遅らせたりするために用いられます。

抗菌剤は、体の感染症を治療するための抗生物質や、細菌を寄せ付けないようにするための市販製品の添加剤やコーティング剤として使用されます。

このように、人や動物、植物の感染症の予防や治療に欠かせない救命ツールである抗生物質ですが、微生物が抗生物質に耐性を持つようになると、公衆衛生にとって世界的な脅威となります(抗微生物剤耐性と呼ばれます)。

抗菌剤耐性の主な要因の一つは、抗菌剤の誤用や使い過ぎであり、その中には、抗菌特性が十分に証明されている先端材料である銀ナノ粒子も含まれています。

銀ナノ粒子は、繊維製品に織り込まれたり、歯ブラシにコーティングされたり、さらには防腐剤として化粧品に混ぜられたりと、高い殺菌性能を誇る製品に使用されるケースが増えています。

ピッツバーグ大学スワンソン工学部のギルバートソングループは、実験用の大腸菌を用いて、銀ナノ粒子に対する細菌の耐性を理解し、この素材が悪用される可能性を先取りしようと試みました。

研究チームは、この成果を『Nature Nanotechnology』誌に発表しました。

本論文の主執筆者であり、ピット大学の土木・環境学博士課程を卒業したばかりのLisa Stabryla氏は話します。

「銀ナノ粒子に対する細菌の耐性はあまり研究されていないので、私たちのグループはこの現象の背後にあるメカニズムを調べました。これは、私たちの抗菌剤の武器に加えられる有望な技術革新ですが、意識的に研究し、一般的な抗生物質で見られるような効果の低下を避けるために、おそらくその使用を規制する必要があります。」

Stabryla氏は、大腸菌を20日間連続で銀ナノ粒子にさらし、その間の細菌の成長を観察しました。

ナノ粒子は、細菌の約50倍の大きさです。

Stabryla氏は話します。

「当初、細菌は低濃度の銀ナノ粒子でしか生存できませんでしたが、実験を続けるうちに、より高濃度の銀ナノ粒子でも生存できることがわかりました。興味深いことに、バクテリアは銀ナノ粒子に対しては抵抗性を示しますが、放出された銀イオンだけには抵抗性を示さないことがわかりました。」

研究グループは、銀ナノ粒子にさらされた大腸菌のゲノムを解析したところ、重金属イオンを細胞外に押し出す排出ポンプに相当する遺伝子に変異があることを発見しました。

Stabryla氏は話します。

「何らかの形で銀が細胞内に入り込み、それが到達すると、細胞が変異して銀を素早く送り出すようになっている可能性があります。粒子の設計によって、この抵抗性のメカニズムを克服できるかどうか、さらに研究を進める必要があります。」

研究グループは次に、通常の運動性を持つ細菌よりも環境中を素早く泳ぐ超運動性株と、物理的な移動手段を持たない非運動性株という2種類の大腸菌を調べました。

その結果、超運動性菌のみが耐性を獲得したのです。

Stabryla氏は話します。

「この発見は、特定の種類の細菌、特に非運動性の菌を標的とするのに、銀ナノ粒子が良い選択肢となる可能性を示唆しています。」

結局のところ、細菌は抗菌剤を回避する方法を見つけて進化していくでしょう。

しかし、このような進化をもたらすメカニズムを理解し、新しい抗菌薬を慎重に使用することで、抗菌薬耐性の影響を軽減することが期待されます。

ピット大学の土木・環境工学助教授であるLeanne Gilbertson氏は話します。

「銀ナノ粒子に対する耐性の発現に細菌の運動性が影響していることを調べたのは、私たちが初めてです。観察された違いは非常に興味深いものであり、この違いを理解し、遺伝的反応(流出ポンプの制御)と細菌のシステム内での移動能力をどのように結びつけるか、さらなる調査が必要です。この結果は、耐性を回避しつつ高い有効性を実現するなど、望ましい反応を得るために粒子の特性を調整できるようになることを期待しています。

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